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意外な作品が受賞する可能性も!? 大逆転狙えるアカデミー賞の投票システム

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接戦が予想されている『6才のボクが、大人になるまで。』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
接戦が予想されている『6才のボクが、大人になるまで。』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. all rights reserved. (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

 今年のアカデミー賞作品賞部門は、『6才のボクが、大人になるまで。』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の大接戦。どちらが取ってもおかしくない状況だが、その鍵となる投票システムについては、意外に知られていない。6年前に改正されたこのシステムのせいで、もしかすると、この2作品以外の何かが大逆転で賞を取る可能性もあるのだ。

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 アカデミー賞の作品部門は、投票者が候補作の中から1本を選ぶシンプルな投票方法ではなく、良いと思う順に候補作に番号をつける方式を取っている。今年は候補作が8作品なので、1番から8番まで順番をつけるわけだ。票が出揃った段階で、1番の票の獲得数が最も少なかった作品は除外され、その作品に投票した投票者の2番の票が1番に変わる。どれか1作品が、全投票者の50%を獲得するまで、そのプロセスが繰り返されるというわけだ。

 自分が1番に選んだ作品が賞を取らなかったにしても、2番、3番に良いと思ったのはこれだ、という意思表示が投票の結果に反映されるのが、この方法の利点。アカデミー会員の中には、今でも自分が好きな1作品にしか投票しない人がいるが、もしその作品が切り捨てられた場合、その票の命は、そこで終わってしまう。しかし、集計の過程で、自分の票が、自分が2番目、あるいは3番目か4番目に良いとした作品に数えられることになったとしても、投票者本人にはもちろんわからない。

 最初からひとつの作品が全投票者の50%から1位に選ばれれば、集計作業はそこで終わり、とくに複雑なことはない。だが、今年のように2作品が激しいレースを繰り返している状況では、約6000人の投票者が、2番、3番に何を選ぶか、あるいは好きな1作品だけに投票してそれ以下は事実上“棄権”するのかが、結果により大きな影響を与えることになる。アカデミー賞の集計を行うプライスウォーターハウス・クーパーズの代表は、Los Angeles Times紙に対して、「最終的に賞を取るのは、多くの人が3番、4番、あるいは5番に挙げた作品であることが多い」と明かしている。

 アカデミーがこの投票方法を導入した年、プロデューサー組合賞(PGA)も同じシステムに切り替えた。もともとPGAはアカデミー賞作品賞予測の最大のバロメーターだと言われてきたが、とくに投票法が同じになってからは、結果が完全に一致している(昨年は『それでも夜は明ける』と『ゼロ・グラビティ』がPGAを同点受賞。オスカーは『それでも~』が獲得した)。しかし、アカデミーはPGAより圧倒的に会員数が多い上、PGAの投票者全員がアカデミー会員だというわけではない。今年のPGAに輝いたのは、『バードマン~』。果たしてアカデミー賞もそれに同意するのか、あるいは、多くの人が3番か4番に選んだ作品に与えるのか。結果は、まもなくわかる。(文:猿渡由紀)

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