初監督作『騒音』にも中年ズラリ、関根勤監督に聞く“オヤジ俳優”の魅力

最近、オヤジ俳優に脚光が集まっている。現在公開中の映画『龍三と七人の子分たち』では、藤竜也、近藤正臣、中尾彬、小野寺昭など、平均年齢72歳のベテラン俳優が集結し、テレビ東京で放送中のドラマ『三匹のおっさん2』では北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎のトリオが大活躍。そして、超個性派な俳優陣をメインキャストに迎え、初映画『騒音』(5月23日公開)を完成させたのが、芸能生活40年以上のベテランお笑い芸人・関根勤だ。
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関根勤初監督作品『騒音』で主演をはるのが、温水洋一、村松利史、酒井敏也の3人。そこに、飯尾和樹と岩井ジョニ男が加わった5人のオヤジ連中が、謎の生物 “地底人” に立ち向かう。同作の予告編を見てもらえれば、この5人がいかに個性的な中年おじさんであるかわかってもらえるだろう。
そんな中年俳優の魅力を、関根監督はこう話す。
「中年俳優の魅力は、長く生きてきたからこそ滲み出る人間臭さみたいなものです。若い時より個性がはっきりしてくるんでしょうね。中年になると、その人の個性が色濃くくっきり出てくるのと、キャリアがあるぶん培ってきた表現力も魅力のひとつです」。
それでは、『騒音』のように、1人より2人、2人より3人、3人より4人と、オヤジ俳優が増えることでの相乗効果とは?
「たくさん経験を積んで引き出しが多いから余裕もできるし、周りを見ることができる。また、それぞれの良さもわかっているので、互いに認め合いながら、自分はその人にないものを出していくことができるという騒乗効果を生んでいると思います」とコメントし、「ただ、共演者には、YOUさんみたいにかわいくてきれいな女優さんとか、イケメンを起用したり、コントラストをつけようとは思いました。この作品にはオヤジが3人集まっちゃっているうえに、飯尾やジョニ男もいるから、埋もれないよう、違うタイプの人(オヤジ)で固めました」と明かす。
では、最近メインキャストに中年俳優の起用が相次いでいる理由をどう考える?
「やはり、中年俳優が熟成しているからじゃないでしょうか。肉も、魚も“熟成”が良いって言われていますし(笑)。若さというのもひとつの魅力ですが、深みみたいなものは中年のほうがありますよね。また、この作品に関して言えば、『騒音』が生まれる随分前から、“もし僕が映画を撮るとしたら”という妄想を描き、温水さん、松村さん、酒井さんの名前は出てきていたので、知らぬ間に僕の心の中にはこの3人が深く入っていたんです。僕は番組で実際にもお会いしたことがあるので、素敵な個性もわかっていたし、その個性はかぶらないと思っていた。ひとくくりにオヤジ俳優と言っても、どれも個性が違うんです。イモで例えると、えびいも、じゃがいも、さといも、みたいに。明らかに違うけど、どれもおいしいでしょ(笑)」。
最後に、関根監督はこう付け加える。
「中年俳優はお互いに刺激し合うから、発酵した味噌みたいな良さがあるというのを、やっと理解されるようになってきたんじゃないでしょうか。僕を含めて見る側の目が肥えてきたんだと思います」。
今後、中年俳優たちの活躍の場は、ますます増えそうだ。