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女性監督作品、ハリウッドで減少しているのはなぜ?

映画

『ハート・ロッカー』でオスカーに輝いたキャスリン・ビグロー監督 
『ハート・ロッカー』でオスカーに輝いたキャスリン・ビグロー監督 (C) AFLO

 ハリウッド映画の監督に女性が少ないのは、昔からよく知られた事実。だが、男女平等が広まってきているこの時代、この業界における状況は悪化していることが、最近の調査で判明した。調査を行ったのは、アメリカ自由人権協会(ACLU)。ある女性監督が、「性差別のせいで映画やテレビの監督の仕事をもらえない」と訴えたことから、ほかの女性監督たちにも話を聞くなど、実態の把握に乗り出した。その結果、ACLUは、業界には明らかな男女差別があると判断を下したのである。

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 2014年に北米公開されたメジャースタジオの映画で、女性監督が手がけたものは、わずか4.6%。2013年は5.8%、2012年は7.4%だったのだから、もともと低かったのが、さらに下がっている。

 スタジオ別に見てみると,ワーナー・ブラザースとディズニーは、昨年、女性が監督する映画を1本も公開していない。ユニバーサルは3本、ソニー、フォックス、パラマウントはそれぞれ1本だ。

 映画業界といえば最先端をいくイメージがあるが、ハリウッドは意外にも保守的で、スクリーンの中でも、外でも、白人と男性が優遇され続けてきた。今でも全般的に男優のほうが女優より高いギャラをもらい、男性が主人公の映画のほうが、圧倒的に多く作られている。どの映画の製作にゴーサインを出すか、どんなキャストを集めるか、誰に監督を任せるかの決定権を握るスタジオのエクゼクティブの多くも、白人の男性だ。

 それでも、かつては、ロマンチックコメディや小粒のドラマなど、女性監督にもチャンスが回ってくるかもしれない作品があった。しかし、世界経済の変化を受けて、今日、メジャースタジオは、予算がたっぷりかかっても、その分見返りも大きい娯楽大作にさらなる重きを置くようになり、中規模予算で見返りも中規模な、大人向け人間ドラマを避けるようになってきている。結果的に、コミックブックの映画化や、大型アクション映画がラインナップを埋め尽くすことになり、女性監督には、ますます声がかかりにくくなっているのだ。

 キャスリン・ビグローは、アクション満載のシリアスな戦争映画『ハート・ロッカー』でオスカーに輝いたが、あれはインディーズ映画。スタジオ映画だったら、彼女が雇われていたかどうかはあやしい。彼女の受賞は女性たちに大きな希望を与えたものの、以後、女性の候補者はひとりも出ていない。この傾向をどう覆せるのかは、撮影現場で起きるどんなトラブルよりも、女性監督にとっては難しい問題なのだ。(文:猿渡由紀)

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