ジン・ティエンはなぜハリウッド女優になれたのか? 前例のない“成功”に迫る

『グレートウォール』でマット・デイモンの相手役の凛々しい女隊長を演じ、『キングコング:髑髏島の巨神』ではジョン・グッドマンと行動を共にしていた美人生物学者役を務めた、中国人女優のジン・ティエン(景甜)。先週末から全国公開となった『パシフィック・リム:アップライジング』にも出演しており、今、世界中から熱い視線が注がれている。主演ドラマ『麗王別姫(れいおうべっき)~花散る永遠の愛~』のDVDリリースで、日本でもさらに注目を集めている彼女は、いかにしてハリウッド女優になったのか?“前例のない”シンデレラ・ストーリーに迫っていきたい。
【動画】『麗王別姫』主人公を演じたジン・ティエンのメッセージ動画
つぶらな瞳が印象的なジン・ティエンは、幼いうちから舞踏の才能を見出されて専門教育を受けていたが、16歳の時、芸能界の道へと進み、2011年『戦国(原題)』でキム・ヒソン、中井貴一らと共演して注目される。そして、2016年、中国の巨匠チャン・イーモウが監督を務めた映画『グレートウォール』のヒロイン役に抜擢され、華々しくハリウッドデビューを飾った。
チャン・ツィイーやファン・ビンビンなど、中国人女優がハリウッドに進出する経緯を振り返ってみると、女優として国内で成功を収めた後、満を持してのハリウッドデビューというパターンが多かった。しかし、ジン・ティエンの場合は、『グレートウォール』に出演するまでは、中国での人気と評価は決して高いとはいえなかった。つまり、いきなり晴れ舞台に躍り出たようなもので、その道筋は異例とも言える。ジン・ティエン自身は、始めからハリウッドを目指していたわけではなく、新しいキャラクターを求めて活動範囲を広げた結果だと話しているが、『グレートウォール』以降、次々とハリウッド作品に出演しており、そこには演技やアクション、英語のトレーニングに励む彼女の並々ならぬ努力があったことは容易に想像できる。
また、『グレートウォール』公開直後に、本国で放送された主演ドラマ『麗王別姫~花散る永遠の愛~』の成功もジン・ティエンの大きな転機といえる。本作は、“中国版ロミオとジュリエット”ともいえるドラマティックなラブストーリーで、ジン・ティエンは唐代に実在した“才女”沈珍珠(しんちんじゅ)を熱演し、視聴者に大きなインパクトを与えた。
この国内ドラマでの成功こそが、今のハリウッド女優としての地位につながっている。日本人俳優もそうだが、中国でもハリウッドに行くと自国の映画やドラマには出なくなってしまう俳優が少なくない。しかし、ジン・ティエンはハリウッドの仕事が忙しくなった現在も両方で精力的に活動中。国内での人気もまだまだ伸びしろがたっぷりあり、ハリウッドの関係者も中国国内で人気が急上昇しているジン・ティエンをますます放っておかない。ハリウッドに進出しても国内での活動を怠ることがない。これが、ジン・ティエンがハリウッド女優として成功している理由ではないだろうか。
こうして、名実ともにトップ女優の仲間入りを果たした彼女は、いまやその美しい容姿やプライベートも注目の的だ。5大ファッション誌といわれる中国版「ELLE」「Harper’s BAZAAR」「marie claire」「COSMOPOLITAN」「Vogue」の表紙を飾ったり、ワールドカップ、世界選手権、オリンピックを制覇した卓球選手の張継科との熱愛が話題になるなど、彼女の一挙手一投足が大きく報道されている。ハリウッド、そして中国と世界を股にかけて活躍するジン・ティエンから今後も目が離せない。
ジン・ティエンが主演を務め大ヒットを記録した中国ドラマ『麗王別姫~花散る永遠の愛~』 のDVDは現在レンタル&発売中。CS放送チャンネル銀河でTV放映中。