映画『ミナリ』は昨年の『パラサイト』になるか　批評家＆一般観客から高く評価

映画

公開日：2021/3/20 08:30

■国境を超えた家族の物語に批評家＆一般観客から高く評価　

　世界プレミアとなった昨年のサンダンス映画祭で審査員が決めるグランプリと観客が投票する観客賞をダブル受賞したことが示すように、『ミナリ』は、批評家からも一般観客からも高く評価される傑作だ。

　舞台は80年代のアメリカ。韓国からの移民ジェイコブ（スティーヴン・ユァン）は、自分の農場を持ちたいという夢を追いかけ、妻モニカと2人の子どもを連れて、カリフォルニア州からアーカンソー州に移住する。お金のない一家が住むのは、古いモーターホーム。そこへさらに、韓国から呼び寄せたモニカの母（ユン・ヨジョン）が一緒に住むことになった。突然祖母と部屋を共有することになり、幼いデビッド（アラン・キム／少年時代のチョン監督にあたる）は反抗的な態度を見せる。

韓国から移民してきた家族を描く映画『ミナリ』　写真提供：AFLO
　言語は韓国語で、家の中の様子は完全に韓国そのもの。しかし、見知らぬ土地で成功を目指すジェイコブの姿は、アメリカンドリームの象徴だ。人種や国籍に関係なく、自分の意志でアメリカに移住してきた人なら誰もが共感できる。同時に、これは、国境を超えた家族の物語でもある。遠くにいる年老いた親を気遣うこと、同居によって家族内に多少の混乱が起きること、夫を支えてあげたいと思いながらも金銭面で妻が不安を抱くことなどは、80年代のアメリカに住む韓国人でなくてもわかるだろう。

■アカデミー会員の国際化で変化

　近年、アカデミー会員の顔ぶれは急速に国際化してきており、昔のように、いわゆる「アカデミー好き」する映画が選ばれるとは限らなくなってきた。昨年の『パラサイト～』受賞は、まさにその証明だ。『パラサイト～』が受賞したのは、言語を超えて共感できるテーマと、純粋なストーリーの面白さがあったから。そんな要素があるならば、どの作品にもチャンスはある。果たして『ミナリ』は快挙を達成してみせられるだろうか。（文：猿渡由紀）

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昨年、アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞を受賞した、韓国映画『パラサイト半地下の家族』

更新日：2021/3/20 09:45

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　現在公開中の映画『ミナリ』は、昨年のアカデミー賞で作品賞や監督賞を受賞した『パラサイト半地下の家族』になるのか？　現地時間15日のアカデミー賞ノミネーション発表で、その可能性がぐっと高まってきている。 - クランクイン！は、映画、TVドラマ、海外ドラマ、アニメ、コミック、海外セレブ・ゴシップ、イベントの最新情報をお届けする総合エンタメニュースサイトです。