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<『おむすび』最終週>大胆さと繊細さが共存する仲里依紗は「無敵」【宇佐川隆史統括インタビュー】

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■最初から「いい家族」を目指したわけではない

Q:家族の描かれ方が、現代的でユニークだと感じました。

宇佐川統括: 理想の家族を描くのではなく、結果的に理想になればいいと思っていました。ベースは現代の価値観に寄り添いながらも、従来のドラマの「当たり前」にとらわれず、今の時代に合った家族像を大事にしました。

もちろん、家族の形は様々です。決して“幻想の家族”を描きたかったわけではなく、「今を生きる家族」をリアルに表現したかった。それは、米田家の呪いのエピソード(永吉が貸したお金が戻らず、息子を傷つけた)にも表れています。誰もが完璧な人間ではなく、正しさだけで語れるものではない。でも、一生懸命生きてきたことは確かです。

Q:最初はギスギスしていた家族が、最後はとても仲良くなりました。

宇佐川統括: 物語を通じて家族がどう変化するのかは、視聴者にとって見どころのひとつだと思います。ただし、最初からいい家族を作ろうとしたわけではなく、現代の家族の在り方や、平成を生き抜いた家族の中にどんな希望があるのかを、作りながら見つめていきました。結果的に、俳優陣の力も加わり、「いい家族」になったのではないかと思います。そこには、単なる理想や作り物の幸せではなく、今に対してのリアルな希望が込められていると思います。聖人君主ではないけれども、人が困っていたら助ける。できるようでできない、この矜持と共に、これからも米田家はたくましく生きていくと思います。

■大人と子供が会話できるドラマにしたかった

Q:改めてドラマを振り返ると、結がむすんだ縁や絆は、派手なものではありませんでしたが、エピソードのひとつひとつの中で登場人物たちの個性が立っているのが印象的でした。ある意味全員がヒロインのようにも見えました。

宇佐川統括: そうですね。大前提として、今回はすべての登場人物が「自分の人生の主人公」であると考えました。だからこそ、主人公のために動くということは極力せず、それぞれが自分の人生を生きているように描きたかったんです。

結の行動は、バタフライエフェクトに近いかもしれません。彼女がむすぶ縁が、巡り巡って別の形で作用する。これは「情けは人の為ならず」という言葉にも通じます。結だけの物語ではなく、登場人物全員が輝くことで、物語全体が輝き、その結果、結も中心で輝くのだと思います。

Q:脚本の根本ノンジさんとは、どのようなディスカッションをされましたか?

宇佐川統括: 根本さんは、子供から大人まで楽しめる朝ドラの原体験を持っている方です。今はSNSで多くの意見が飛び交い、朝ドラも正解のような形が求められていますが、「いろいろな朝ドラがあっていい」と思っています。

「大人と子供が一緒に楽しめて、世代をこえて会話ができるようなドラマ」を目指してやってきましたが、ハイブローなテーマをエンターテインメントとして昇華するのは、根本さんならではの力です。米田家の人生をここまで深く描いてくれたことに、心から感謝しています。

(取材・文:川辺想子)

 連続テレビ小説『おむすび』はNHK総合にて毎週月曜〜土曜8時ほか放送。

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