<『おむすび』最終週>大胆さと繊細さが共存する仲里依紗は「無敵」【宇佐川隆史統括インタビュー】

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半年にわたり放送された連続テレビ小説『おむすび』が、まもなくフィナーレを迎える。先週の放送では、結(橋本環奈)が勤務する病院に、歩(仲里依紗)の中学時代の親友で阪神・淡路大震災で亡くなった真紀ちゃん(大島美優)にそっくりな詩(同)が入院。詩の存在が、歩と結の人生に新たな局面をもたらしている。姉妹や親子の確執を乗り越えた米田家の前に、なぜ詩が現れたのか。そして、ドラマのテーマであるギャル魂を体現してきた姉・歩を演じきった仲の熱演について、宇佐川隆史統括に話を聞いた。
【写真】真紀ちゃんにそっくりな詩
■詩は“今”を象徴する存在
Q:真紀ちゃんにそっくりの詩ちゃんの登場に驚きました。
宇佐川統括: 歩にとっても、結にとっても、このドラマにとっても、詩ちゃんは“今の世界”を象徴する存在だと思うんです。つまり、現在や未来に対する不安を体現しているキャラクターですね。今の日本の状況と重ねながら、米田家や管理栄養士としての結がどのように向き合っていくのかを描きたかった。それが詩が登場した理由です。最終週ですが、結たちの日常はこれからも続いていく。私たちの日常が決して終わらないように。ドラマの都合に無理に合わせず登場してもらいました。
詩というキャラクターが生まれた後に、詩が真紀と似ているというアイデアは出てきました。大島さん演じる真紀ちゃんの存在が、このドラマにとって非常に大きかったんです。私たちは、できる限りリアルなドラマを作ってきましたが、一方で、ドラマだからこそできる表現もあると考えました。真紀ちゃんに似た子と歩が、震災の先の未来を生きていくという世界線を提示できるのは、ドラマならではの力ではないかと。
■仲里依紗の無敵の存在感
Q:歩を演じた仲里依紗さんも、ドラマにおいて大きな存在でした。
宇佐川統括: 仲さんの演技は本当に素晴らしかったですね。彼女は、麻生さん演じる母親・愛子とは実年齢が11歳しか離れていませんが、それでもお芝居の力で、親子として成立すると信じていました。
今回のドラマのテーマや背景は、決して簡単なものではありません。物語自体は分かりやすくしていますが、その裏にある心情や背景は非常に難しいものがあります。だからこそ、米田家を演じるキャストは相応の方にお願いしたいと考えていました。その中で、仲さんと麻生さんの組み合わせは、実年齢を超えたものとして必要なキャスティングだったんです。
オファーの際には、年齢差はそこまでないかもしれませんが、ぜひお願いしたいですと率直にお伝えして。こちらが想像する以上に、相当な覚悟を持って受けてくださったと思いますし、その壁を現場では楽しみながら乗り越えてくださいました。仲さんは、大胆さと繊細さが共存している女優さんです。そのバランスが絶妙で、まさに「無敵」だなと感じました(笑)。
Q:確かに、画面からも無敵感が伝わってきました(笑)。
宇佐川統括: 今回のドラマは、パワフルな俳優さんがたくさん出演してくださったんですよね(笑)。ヒロインの結を演じた橋本さんも、座長として本当に頼もしかった。豪快な笑いとともに、まるで人生を何周もしているかのような安定感がありました。だからどんな時も変わらずみんなはついていったし、一緒に歩めたんですよね。
そして、仲さんをはじめ、松平健さん、宮崎美子さん、麻生久美子さん、北村有起哉さんといった存在感のあるキャストが、見事に米田家として調和していました。そこに、天然な翔也(佐野勇斗)、また花が加わることで、より魅力的な家族になったんです。このキャストで米田家を描けて、本当に良かったと感じています。