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渡辺翔太だからこそ体現できた“優しさ” 『事故物件ゾク 恐い間取り』原点回帰な恐怖も魅力

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映画『事故物件ゾク 恐い間取り』場面写真
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』場面写真(C)2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

 2025年はJホラーがアツい。6月6日に公開し、漫画実写作品としての側面も持ちつつ非常に評判が良かった『見える子ちゃん』や、6月13日公開の『ドールハウス』が興収12億を突破したことなど、邦画ホラージャンルが活気づいている。もちろん夏だから、と言えばそれまでかもしれないが今年は特に1月24日公開の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を皮切りに、昨年末にテレビ放送されたTXQ FICTION第2弾『飯沼一家に謝罪します』が映画として上映されたり、原作が35万部を突破した『近畿地方のある場所について』も8月8日の公開を控えていたりと、パンチの効いたホラー作品が揃いに揃っている。その中で、注目したいのが7月25日に公開された『事故物件ゾク 恐い間取り』だ。週末興行ランキング新作邦画実写1位を記録した本作には、「クセになる恐さ」「恐いだけのホラー映画ではなかった」などの反響が寄せられている。

【写真】肩に髪の毛が・・渡辺翔太に降りかかる恐怖!

■前作との方向性の違い

 本作は、興行収入23億円超えのヒットを記録した『事故物件 恐い間取り』(2020)に続くシリーズ最新作ではあるが、前作との関連性はなく単独作として楽しめる(ちなみに、1作目に登場した“ある人物”がカメオ出演するのも見どころのひとつだ)。主人公の桑田ヤヒロは福岡の工場勤務で、昇進の話も上がっていたが、タレントとしての夢を捨てきれず一念発起して上京する。工場長の山中(滝藤賢一)のツテで小さな事務所の社長である藤吉(吉田鋼太郎)を案内され、「事故物件住みますタレント」として活動を始める。

 特筆すべきは、やはり前作と恐怖やキャラクター設計、物語の方向性の違いだろう。前作の主人公も芸人として売れたい、という野心を抱えて事故物件に住み始めるが、実際のところ「とにかく売れたい」という野心しか見えてこないところが少し勿体無かったとも言える。心配する周囲の人間を大切に扱わなかったり、時には危ない目に遭わせたりと行動原理がやや理解し難い場面も多かった。

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』場面写真 (C)2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
 一方、本作の主人公であるヤヒロは徹頭徹尾“優しい”。年齢的にも自分がタレントになることの難しさを理解しつつ、それでも食らいついていこうとする。その背景に、“幼少期に得たある人からの言葉”があることで行動の理由も理解できるようになっているのだ。そして、彼の“優しさ”が、霊などの存在に憑かれやすいというのもプロットの肝となっていて、人物とストーリーの筋がちゃんと通っているのが映画としての見やすさにつながっている。恐怖だけでなく、どこか物悲しい人の気持ちや物語が作品に込められている、という本作の特徴は脚本を担当した保坂大輔の持ち味だ。清水崇監督の「村シリーズ」3作を手がけてきたことで知られる保坂は、「怖い」だけでなく家族や姉妹、友人の絆、怨霊が生まれた背景にある悲壮感を表現することを大切にしている。本作の監督である中田秀夫の作風にもそれがリンクしているからこそ、相性が良かったように感じ、それもあってストーリーに奥行きが生まれたように感じた。

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■映画単独初主演で挑んだ渡辺翔太の力量

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