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渡辺翔太だからこそ体現できた“優しさ” 『事故物件ゾク 恐い間取り』原点回帰な恐怖も魅力

映画

■映画単独初主演で挑んだ渡辺翔太の力量

 さて、そんなヤヒロの“優しさ”も渡辺だからこそ体現できたものだろう。Snow Manのメンバーであり、俳優はもちろん“美容男子”として美容クリニックのアンバサダーに就任するなど個人の活動が目覚ましい渡辺。俳優としては2012年の中山優馬主演のドラマ『Piece』(日本テレビ系)にSixTONESの松村北斗と共に出演。同じグループのメンバーと共に『簡単なお仕事です。に応募してみた』(日本テレビ系)でカルテット主演を務めたのち、2024年1月放送の『先生さようなら』(日本テレビ系)で単独での連続ドラマ初主演を果たす。

 着実に俳優としてのキャリアを築いている渡辺は、本作でもその手腕を発揮している。事故物件に住み続け、寝ている間に幽霊に噛まれても(!)特に気にした様子ではないヤヒロだが、もともと大のビビりである渡辺。Snow ManのYouTube企画で「くらやみ遊園地」で撮影をした際にも、些細な物音で肩を飛び跳ねあげるほどだ。そのため、ホラー映画の主演を務めるにあたって、恐怖シーンでもオーバーなリアクションや悲鳴を披露するのかと思われた。しかし、声をあげるだけでなく、気味が悪いものを見た時の「うっ」というリアルなリアクションも混ざっていて、恐怖を表す感情の振り幅と演技の抑揚が上手い。作品のプロモーションの一環として映画の原作者・松原タニシと参加した島田秀平のYouTube企画では、怖いものに対して「嫌だけど見たい」「恐いけど大好きで見ちゃう」と意外とホラーものが好きな一面を見せていた。そんな彼自身の魅力が投影されているような主人公ヤヒロ。彼の“優しさ”につけ込んで幽霊が寄ってくるのに、さらにその“優しさ”で窮地を乗り越えるようなパワーには目を見張る。

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』場面写真 (C)2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
 また、本作のヒロインである畑芽育との相性も良い。渡辺にはこれまでも『青島君はいじわる』(テレビ朝日系)での中村アンや、『なんで私が神説教』(日本テレビ系)の広瀬アリスなど、共演する女優の魅力を引き立たせるような良さがあったが、本作でもそれが発揮されているように感じる。バラエティで見せる“甘えん坊”の顔は抑えつつも、普段から纏(まと)う優しそうな渡辺の人間性がヤシロというキャラクターに説得力を持たせ、アイドルとしての存在感以上に俳優としての実力を、自身の魅力を重ねて提示していた。

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■恐怖演出は原点回帰に近いか

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