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渡辺翔太だからこそ体現できた“優しさ” 『事故物件ゾク 恐い間取り』原点回帰な恐怖も魅力

映画

■恐怖演出は原点回帰に近いか

 本作は恐怖演出においても、前作と少し違いがあるように感じる。前作は幽霊や怨霊というより、彼らが死んだ(殺された)時の描写の方が恐ろしく、「日常に潜む恐怖」や「生きている人間が怖い」という印象が強かった。それに対し本作はより純粋な怪奇ホラーとして幽霊による恐怖演出に力を入れている。それゆえに、恐怖シーンも夜のものが多いのだ。そして、時々映画の中に散りばめられた“説明のつかないもの”も良い味を出している。旅館の中継シーンで、ヤヒロではなく音声スタッフが奇怪な声を拾っていたり、その現場にいた撮影班全員が“憑かれた”ヤヒロを目撃したりと、怪奇現象が誰か一人の気のせいではなく公然のものとして起きているのが面白い。

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』場面写真 (C)2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
 それでもあえて深入りしないような雰囲気で解散するスタッフもリアルで、芸能界ではしばしこういうことも本当に起こりそうだな、と思わせるのが上手いのだ。何より、旅館に向かう途中でヤヒロがバスの中から見つけた、“謎の木”の存在感も素晴らしかった。ああいう気味が悪いものって実際に見かけるけど、見かけただけ、というオチのなさが本当にリアルで「これは恐らく原作者の松原タニシが実際にこういうものを見かけたのだろうな」と思っていたところ、エンドクレジットでやはり本物の写真が流れてくる。そこで本作がある程度“実話に基づいた”作品であることを改めて思い出すのだ。

 中には『リング』の中田監督だからこその“恐怖演出”もあり、前作に比べると怖さは増しているも、まだまだホラーになれない人が楽しめるような描写や、伏線回収など物語としての面白さをアピールした本作。夏に欠かせない、幅広い層に受けるホラー映画としての需要や渡辺のファンの数からして、興行収入の行方が気になるところだ。また、10月3日には渡辺と同じグループのメンバーである宮舘涼太が出演するミステリーホラー映画『火喰鳥を、喰う』が公開予定。今年はやはりJホラーが活気づいている。(文・アナイス/ANAIS)

 映画『事故物件ゾク 恐い間取り』は公開中。

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