有村架純、デビュー15周年に語るものづくりの信念 「作品の祈りを届けられる年齢になってきた」
――鈴木亮平さんとの兄妹感が絶妙でした。どのように生み出されたものなのでしょう。
有村:私は他の作品や役者さんとも話し込んで関係性を築く…ということをあまり行いません。言葉を尽くし過ぎるとそこで消化されてしまう部分があると思うからです。自分にとっては余白を残した方が演じやすいところがあるので、お互いに信頼して身を委ね合うようにしました。
亮平さんはインテリジェンスな方ですが、俊樹同様にとても温かく包み込んでくれる方です。ご自身で2割はストイックで8割はおっちょこちょいとおっしゃっていましたが、現場ではその8割の部分をたくさん目撃して、かわいらしい方だなと感じました。例えば、作品に入る前の食事会の場でお箸を落としたり飲み物をこぼしちゃって慌てていたりして「おやおや?」と微笑ましかったです(笑)。
有村架純
――本作は幼少期もしっかりと描かれる構成になっていますが、何か連携を取るなどの工夫はされたのでしょうか。
有村:前田監督からも特に指示はありませんでしたが、亮平さんと一緒に幼少期パートの撮影済みの素材を見せてもらいました。田村塁希くんと小野美音ちゃんの2人が頑張ってくれたので、より俊樹とフミ子に感情移入できたと思います。2人がこの物語に説得力を持たせてくれました。
私自身、幼少期から描く作品にあまり関わったことがなく、『ひよっこ』(NHK総合)も高校生時代からだったので、自分にとって初めてに近かったと思います。完成した作品の幼少期パートを拝見したときは、一緒に作品を作った仲間としてもそうですが「頑張って撮影していたんだな」と親心のような目線で見てしまいました。
『花まんま』場面写真 (C)2025「花まんま」製作委員会
――フミ子は特殊な秘密を抱えた役どころですが、役作りにおいてどんな部分を取っ掛かりにされたのでしょう。
有村:あくまで彼女の中では無意識の部分なので、あまり深く考えないようにしました。自分には経験がないことなので「どういう感覚なんだろう」と思いはしましたが、親族との距離感や関係性といったものに置き換えながら把握していきました。
『花まんま』場面写真 (C)2025「花まんま」製作委員会
――有村さんは今年デビュー15周年を迎えます。今現在の目標などはありますか?
有村:私は医療系や刑事役を演じたことがないので、そういった「いつかやってみたいな」という役柄やジャンルはありますが、今は主観的というより複合的に考えるようになってきた感覚があります。例えば、「これを皆さんに届けるにはどう作るのが正解なんだろう」といった風に。そんな中で、これから貢献出来たらいいなと思っているのが、見てくれる方々に祈りを届けられるようなもの、誰かのためになる作品づくりです。
20代の頃も「誰かに届いてほしい」と思っていましたが、届いてほしい先が具体的に何かまであまり言葉にしたことはありませんでした。ただ、30代に入って、自分の思いや作品の祈りを届けていける年齢になってきましたし、これまで以上にそうした信念を大切にしていかなければいけないと思っています。
(取材・文:SYO 写真:上野留加)
映画『花まんま』は4月25日全国公開。