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木村達成、大河ドラマ&日曜劇場と躍進続く ストレートプレイ初挑戦から5年で得た気づきとは?

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◆ストレートプレイ初挑戦から5年で得た気づき



――『光る君へ』『キャスター』と映像作品への挑戦も続いています。映像と舞台の違いはどんなところに感じていますか?

木村:映像は瞬発力がかなり必要なんですね。スタートがかかってからカットまでの何秒間に、一瞬でも奇跡を生んだり、「こいつ、すげえな!」って何か思わせなくてはいけない。目がバッキバキになるような(笑)、そこに懸ける何か一瞬の思いみたいなものを届けなければいけないということを培ったなと思います。舞台はどのシーンで何が起ころうとも、この公演で一回でも奇跡が起きればいいなと思っているので、そこは大きく違いますね。

あと映像はカットがかかってからの余白がない。舞台は自分で間を作っていかなきゃいけない。そこに何かがあるから、舞台はやめられません。

そもそも映像と舞台で分けたくないんですよね。映像は映像、舞台は舞台ではなく、お芝居というカテゴリーの中の1つ。ミュージカルもストレートプレイも関係ない。僕はそこに重きを置いてやっています。

――ストレートプレイに初挑戦されたのが5年前。ご自身の中で、この5年で変わられた部分はありますか?

木村:最初は無音の中で芝居することの恐怖がすごかったです。あと映像と違って、舞台は、たとえば水も実物としてそこにあるのではなく、そこにあるかのように作り上げないといけない。最初のころは、創作していかなきゃいけないという難しさがすごくあったかなと思います。でも、マジシャンじゃないですけど、こうやってやればここに何かあるように見えるよねって創作することが、これもお芝居なんだなと考えた時に、僕は素晴らしいコンテンツでお仕事をさせていただいているんだなっていう発見にもつながりました。

逆に映像では、水は実物があるから作り出すという作業はしないで済む。じゃあ飲み方を変えたらどういう風にお客さんに見えるのかなと、自分でキャラを作っていく方向に変えてお芝居してみたりしました。正直自分のセリフで自分のキャラクターを構築することがどれだけ難しいのかというのも学んでいますし、誰かのセリフでこうやって言われているから彼はこういう人間なんだと思える。でも水の飲み方や何かの仕方で自分のキャラクターを作るというのは、自分でできる作業のひとつなんだなとどこかで思い始めたんですよね。

――そう思われたきっかけはどんなことだったんですか?

木村:おそらく主演が楽しいと思い始めてからじゃないですかね。今でもプレッシャーは大きいですし、自分なんかにできるのかという不安は常にありますが、どこか責任を感じたり、「頼むぞ」と襷をかけられた時に奮い立つ自分がいるというか。逆境が好きなのかもしれない(笑)。男の子ってヒーロー体質じゃないですか。それが抜けてないだけなのかもしれないですけど、これはずっと抜けないでいたいなと思っています。


――今年32歳になられます。30代の木村さんはどうなりたいと思い描かれていますか?

木村:特に思い描いているものはないんですけど、必要とされたいっていうのはすごくありますね。「あいつがいるからなんとか保てた」とか、「あいつの代わりはいない」という役者になりたいなとは常々思っていて。「これは彼に頼まなきゃいけない仕事なんだ」と思われるような役者になりたいです。

――最後に、『狂人なおもて往生をとぐ』、楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

木村:かしこまったことを言うつもりもないんですけど、……おもろいよ(笑)。

――自信あり!と。

木村:自信ではないですけど、初めて「舞台、観に来ますか?」って周囲に連絡しました。自分から友達を誘うことなんてまずなくて、いつも「達成、観に行っていい?」「ああ、別にいいよ」という感じなのが、初めて「どうしますか?」と。

稽古をしている中で、お芝居をしているんですけどお芝居じゃなくなる瞬間がたまに見え隠れすることがあるんです。「あ、呼べるかもしれない」みたいな感覚になったんですよね。お芝居を超えたものが見える瞬間を作り出せたらいいなと思っています。

(取材・文:佐藤鷹飛 写真:高野広美)

 舞台『狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕達は愛した~』は、東京・IMM THEATERにて10月11日~18日上演。

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