松田美由紀&原田美枝子、出会いから40年超 監督&主演として向き合い感じたお互いの魅力
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原田美枝子
――原田さんにとって、監督としての松田さんはいかがでしたか。
原田:撮影は2日だったので、現場は本当に大変でした。ある意味無謀なんですよ。でも、だからこそ美由紀の感性でどんどん撮っていけたのかなとも思います。もちろん時間をかけた方が良いと思うところもあるし、別のバージョンが撮れるかもしれない。でも、出来上がりを観たら、すごく面白かったです。絵の作り方が上手いんですよね。絵のフレームとか画角とか、編集が上手いから。
松田:そこは短編の面白さもあるんですけど、時間が限られているから、いろいろ入れたい要素を全部切り落とさないと間に合わなかったんですよ。パチンコのシーンも午前中しか撮れなかったので、真っ暗にして撮って。それでも何か撮り忘れてるんじゃないかと思って、不安で死にそうでした(苦笑)。
原田:実際、撮影はかなりきつかったですね(笑)。
松田:でも、撮影が2日しかないということを理由に「撮れなかった」と言うのは嫌だったので、画角も全部その場で決めなきゃいけなくて、そうしたスキルは身についたし、勉強になりました。
――監督として、憧れの人でもあり、古くからの友人でもある原田さんを主演として迎えて、いかがでしたか。
松田:美枝子がピリッとする度に「ひぃ~っ」となりました(笑)。それで「説明してくれないの? それじゃ、分からないじゃないの」とか言われると……もう(笑)。それは言われてももちろんしょうがないんですが。
原田:分かりたいからね。監督が何をやろうとしていて、こちらは何をやればいいのかということが。分からなかったら、ただ動いてることになるから。空っぽのまま動くことはできませんから。心が納得してないと体は動かないんですよね。
松田:私も自分が俳優をやっているから、よく分かるんですよ、その気持ちが。でも、分かるからこそ、その3倍速で動かなきゃいけないのは本当に大変で……。ただ、美枝子が疑問に思ったことには100%応えなきゃいけないと思っているから、本当に時間と大女優の戦いでした(笑)。
(左から)原田美枝子、松田美由紀
――原田さんにとって、本作はこれまでのキャリアの中でどんな経験になりましたか。
原田:美由紀はずっと「可愛い」と言ってくれていたんですけど、この作品を観てくれた方もみんな「可愛い」って言ってくださるんですよ(笑)。
松田:この年代で、こんなにも可愛い美枝子を、私は撮りたかったんです。パチンコ屋で帽子を持って「うん」って言うときの顔なんて、めっちゃ可愛いでしょ? あの辺のシーン、大好きなんだよね。
原田:私もそこ、すごく好き(笑)。
松田:あの可愛さは、人生のいろんな道を通ってきて、今があるからで。60歳過ぎたら穏やかだとか、そういう観念で見るんじゃなくて、この年齢になってもこんな瞬間があるよっていうのを撮りたいし、見てもらいたい。私はカメラマンもやっているんですけど、もうツルツルの女優とか撮りたくないですよ。つまんないから。重ねてきた年月や経験の滲む人の美しさ・可愛さを撮る喜びっていうのがあるんです。今度は長編も撮ってみたいですね。時間はかかるけど(笑)。
原田:それもまた楽しみです(笑)。
(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)
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