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声優・赤尾ひかる、初小説は“好き”の結晶 女子校の記憶と「百合×食べ物」で紡いだ甘い物語

エンタメ

■マシュマロのような優しい甘さを 赤尾ひかるが物語に込めた思い

――声優は、台本から人物の心情や背景を読み取り、役を形作っていきます。一方、小説では、人物そのものをゼロから生み出します。「役作り」と「キャラクターメイク」には、どのような違いがありましたか?

赤尾:その子の心に寄り添うという点は、どちらも変わりません。ただ、声優の仕事では、自分なりに役を作り上げたうえで、共演者のお芝居を受けることで新たに生まれるものがあります。「こんな温度で届く言葉だったんだ」「こういうテンポで返ってくるんだ」と感じた瞬間に、自分のお芝居も変化していきます。

一方、小説には、声の掛け合いとは異なる“文字のテンポ”があります。読者が文章を読むリズムに合わせて、登場人物の心が動いていく。その中で彼女たちを立ち上げるには、一人ひとりが持っている要素を、いかに言葉にするかが大切でした。

そのために、性格や好きなものなど、キャラクターを形作る要素をいくつも書き出しました。声優のオーディションでは、作品の概要やキャラクターの情報をスライド形式でいただくことがあります。そうした資料を見ながら、「作品はこのように作られているんだ」「こう整理すれば、キャラクターのことを分かりやすく伝えられるんだ」と学んできました。

その経験を生かして、今回も物語のプロットとは別に、キャラクター資料をスライドで作りました。プロフィールはもちろん、作中ではまだ明かされていない誕生日や一人称まで、一人ひとりの設定を整理しています。そうして言葉を重ねながら、彼女たちの輪郭を作っていきました。

小説『甘い制服をまとって』キャラ紹介(C)赤尾ひかる・館田ダン/KADOKAWA
――小説を一冊書き上げた経験を通して、声優として台本やキャラクターと向き合ううえで、改めて感じたことはありましたか?

赤尾:脚本やそこに書かれた一文字一文字を大切にしたいという思いが、より深まりました。声優として活動する中でも、一つの作品が完成するまでには本当に多くの方が携わっていることを感じていましたし、感謝しながらキャラクターと向き合ってきました。ですが今回、自分自身が長い時間をかけて一つの物語を書き上げたことで、作品を生み出す大変さも、楽しさも、改めて実感したんです。

オーディションや収録の際に私たちが受け取るのは、基本的にはすでに形になった作品です。ですが、そこへ至るまでには膨大な時間があり、作り手の愛情や「好き」という気持ち、そして苦労も詰まっている。これからは、そのすべてを受け取るつもりで、これまで以上の熱量を込めて作品と向き合っていきたいと思います。

――最後に、この物語を読み終えた読者の心には、どのような“甘さ”が残ってほしいですか?

赤尾:この物語には、声優としての私だけではなく、これまで生きてきた中で得たものや、女子校で過ごした実体験も詰め込んでいます。

男性の読者には、「女子校って、こんなところなのかもしれない」「もしかしたら、ここがリアルなのかな」と想像しながら読んでいただけたらうれしいです。女性の読者には「あるある」と共感していただきたいですし、もちろん「これはないない」と感じる部分もあると思うので、その違いも含めて楽しんでほしいですね。

また、物語の中には、さまざまな関係性を張り巡らせています。「この二人が好き」という方もいれば、作中で描かれている組み合わせとは別の二人に惹かれる方もいるかもしれません。それぞれの視点で、好きな関係性を見つけていただけたらと思います。

女の子同士だからこそ生まれる柔らかさや、どこか艶めいた空気が、この作品にはあると思います。マシュマロのように柔らかな肌触りや、近づかなければ気づけないほのかな甘い香り。そんな優しく甘い感覚を、この物語を通して味わっていただきたいです。

赤尾ひかる
(取材・文:吉野庫之介)

 小説『甘い制服をまとって』は、KADOKAWAより発売中。

2ページ(全2ページ中)

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