クランクイン!

水瀬いのり、チーターに「励まされた気がする」 ネコ科動物から受け取った命の強さと温かさ

映画

■「今、チーターに励まされた気がする」生きものを知ることで変わった日常

――2018年からツノミンを演じ、『ダーウィンが来た!』に関わってきたことで、生きものや自然に対する水瀬さん自身のまなざしは、どのように変わりましたか?

水瀬:『ダーウィンが来た!』に関わらせていただいてから、動物園へ足を運ぶ機会がものすごく増えました。身近に、生きものの生態を知ることができる場所があるにもかかわらず、大人になるにつれて、子どもの頃よりも自然と足が遠のいていたんです。

でも、番組でさまざまな生きものを知るようになってからは、「今回特集されていた生きものを、実際に見てみたい」と思うようになりました。動物園でその姿を見つけると、まるで芸能人に会えたような感覚になるんです。「いる、いる、いる!」「テレビで見た子だ!」って(笑)。

もちろん、動物園という環境で暮らしている姿だけで、彼らの野生での生態をすべて知ることはできません。それでも、画面越しに見ていた生きものが目の前にいて、人間とは異なるリズムや習慣の中で暮らしている。その姿を眺めているだけで、とても興味深いです。

こちらがカメラを構えて「こっちを向いて」と思っても、当然、その通りには動いてくれない。でも、ふとした瞬間にこちらを向いてくれることもあって。そんな思い通りにならないところも含めて、すごくいとおしく感じます。

『ダーウィンが来た!』との出会いをきっかけに、動物園や水族館はもちろん、博物館や植物園、図鑑にも改めて興味を持つようになりました。大人になった今、生きものや自然についてもっと知りたいと思えるようになったこと自体が、私にとって大きな刺激になっています。


――動物園では、役者として思わず動物たちにアテレコしてしまうこともありますか?

水瀬:ありますね(笑)。気づいたら動物たちに話しかけていたり、「ああ、そうだよね、そうだよね」と気持ちを代弁するような言葉が出ていたりします。赤ちゃん言葉とは少し違うのですが、自然と心を寄せたくなるんですよね。

ただ「かわいい」と眺めるだけではなくて、「今のは絶対に嫌だったんだろうな」とか、飼育員さんたちが来たら「みんな、ごはんの時間だと思ってワクワクしているのかな」とか。そのときの行動や表情から、動物たちの気持ちを想像するようになりました。

『ダーウィンが来た!』を通して、それぞれの動物の生態や個性を知ったことで、「みんな、ちゃんと感情を持って生きているんだ」ということを、以前よりも深く感じられるようになったのだと思います。

動物園ではガラス越しに見ることが多いですが、それでも一つ一つのしぐさをじっくり観察したくなる。生きものをずっと追いかけ、見つめていたくなる気持ちが、今では本当によく分かります。

――ちなみに、今、水瀬さんの中で“熱い”動物は?

水瀬:私はサルの仲間が結構好きなんです。中でも最近は、マーモセットやタマリンのような、とても小さなサルが気になっています。

体も顔も本当に小さいのですが、顔立ちをよく見ると驚くほど精巧で、人間に近い造形をしているんです。ちゃんと鼻や目頭があって、まばたきもする。当たり前のことなのですが、小さな体で「チーチー」と鳴きながら動く姿を見ていると、「ああ、生きているんだな」と実感して、ものすごくいとおしくなります。

一方で、マーキングをする習性があるので、なかなか刺激的な香りがすることもあって(笑)。でも、それも彼らが生き抜くために必要な行動なんですよね。かわいらしさだけではなく、そうした生態も含めて知ることで、「こうやって暮らしているんだ」と新しい発見があります。今、私の中ではタマリンがかなり“熱い”です(笑)。

――同じサルの仲間でも、種類によって見た目や個性が大きく違うところも面白いですよね。

水瀬:本当に、みんな違いますよね。例えばニホンザルには、どこか柴犬のような親しみやすさがあるというか。「ニホンザルって、すごくプレーンなんだな」と改めて思いました(笑)。もちろん、温泉に入る姿もかわいらしいですし、日本の風景になじむような魅力があります。

一方で、アフリカなどに生息するサルに目を向けると、体や顔に「なんて鮮やかな色をしているんだろう」と驚かされる種類もいて。同じサルの仲間でも、暮らす場所によって、こんなにも姿が違うんですよね。

そうやって見比べていくと、「なぜこの地域のサルはこれほど鮮やかな色になったんだろう」「反対に、なぜニホンザルはこの色になったんだろう」と、それぞれの進化のルーツまで気になってきます。見た目の違いから、その背景にある環境や生態へと興味がどんどん広がっていく。そこに、生きものを知る楽しみの奥深さを感じます。

――最後に、この作品を通して動物たちの生き方に触れ、水瀬さん自身が受け取ったものを教えてください。

水瀬:私たちは人間なので、ネコ科動物とまったく同じ環境で生きることはできません。たとえ四足歩行になってみたとしても、時間になればごはんが出てきますし、眠くなればお布団もある。彼らの暮らしに完全に入り込み、同じ感覚を味わうことは、きっとできないと思います。

それでも、この映像を通して彼らの生き方を知ることで、たくさんの学びや発見がありますし、それまで遠い存在だった動物たちを身近に感じられるようになるんです。見ているうちに、「あれ、今、私、チーターに励まされた気がする」と思う瞬間もありました。

ライオンの強くたくましい生き方の裏には、過酷で孤独な戦いがあります。群れで生きる動物たちの世界にも厳しい現実があって、どれだけ個性や魅力があったとしても、最後には強さがものを言う。その残酷さを目の当たりにすると、「では、人間として生きる私は、これからどう生きていこう」と、自分自身を見つめ直すきっかけにもなりました。

私は今、自分がとても恵まれた環境にいると感じています。だから、そんな場所で立ち止まってばかりいないで、もう少し頑張ってみようとも思えました。動物たちはあれほど厳しい世界を生きながら、それでも家族や仲間との間に愛を育み、命をつないでいる。その姿には、厳しさだけではない温かさも感じます。

生きる環境や姿は違っても、みんな同じように今を懸命に生きていて、一つ一つに等しく命がある。この作品を通して、その当たり前だけれど大切なことを、より身近に感じられるようになりました。


(取材・文・写真:吉野庫之介)

 『劇場版ダーウィンが来た!世界のネコのなかまたち』は、10月2日より全国公開。

3ページ(全3ページ中)

この記事の写真を見る

関連情報

あわせて読みたい


水瀬いのり の関連記事 ›

最新ニュース

クランクイン!トレンド 最新ニュース ›

おすすめチケット

powered by ローチケ

おすすめフォト

おすすめ動画 ›

最新&おすすめ 配信作品 ›

注目の人物 ›

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る