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不屈の登山家が明かす「固い絆」 心に突き刺さった『ヒマラヤ』への思いとは

映画

 そして1年後、自身の心の葛藤や仲間の説得など、紆余曲折を経て、登山を決行したオム氏は、遺体と対面することになる。「凍った彼の亡骸を抱きしめた瞬間、私の体中の血も凍り付くような感覚がありました。こみ上げてくる涙、嗚咽をこらえることができず、私はしばし理性を失った…」と言葉を詰まらせる。まさに映画で描かれたシーンそのもの、本作のクライマックスとなるところだが、「私を演じたファン・ジョンミンさんの迫真の演技は、心に突き刺さり、涙がどっと溢れ出た。あたかもそこに私がいるようだった」と賛辞を惜しまない。

 この映画は、大きなリスクを背負ってでも、友情のために命を懸ける登山家の"固い絆"を描いており、一般社会に生きる我々も感動の涙を搾り取られる。だが、その行動は、やはり我々一般人から見ると常軌を逸しており、「なぜ、ここまでできるのか?」と、愚問と知りつつも投げ掛けたくなる。これに対してオム氏は、「登山は自分自身を空にし、犠牲にしないといいチームは作れない。私たちは、生死の境を一緒に行き来しているので、お互いの命を“担保”にしながら山に挑戦するのです。だから、自然に強く固く深い絆で結ばれる。(ヒューマン遠征隊を)自発的に考え、行動に移すことができたのも、その絆があったからこそ」と言葉に力をこめる。

 登山で築いた絆は、登山を経験したものでなければ実感できない。けれど、人間の奥底にある“お互いを思いやり、お互いを信じる”という気持ちの原石は、みな同じ。だからこそこの映画は、全ての人の心に突き刺さり、その痛さから涙が溢れ出るのかもしれない。(取材・文・写真:坂田正樹)
 
 映画『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』は7月30日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開。

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