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『ベイビー・ドライバー』エドガー・ライト監督、“共感を呼ぶ”主人公の描き方語る

映画

 こうした新たな発見があったという本作。劇中では、ライト監督ならではの映像と音楽の融合が見事にハマり、非常にスリリングな物語がテンポ良く展開する。特にオープニングでは、5分以上に渡り、音楽と映像だけで展開し、度肝を抜かれる。

 「映画のオープニングシークエンスというのは、魔法をかける役割でなくてはならない。観客を最初からつかみたいという気持ちが強いんだ。この作品も音楽メインでセリフなく疾走感いっぱいで描くことで『これから観る映画はこういう映画なんだ』と印象づける必要があるので、このような作りにしたんだよ」と持論を展開する。

 ライト監督の思惑が功を奏し、スタートから作品の世界観に没頭でき、最後までそのテンションは維持される。そこにはライト監督の音楽に対するこだわりが大きく影響している。「やっぱり僕の人生の大きな部分が音楽に影響され、常にインスピレーションをもらっている」と語ると「とにかくたくさんのジャンルの音楽を聴いてきたので、どの曲やアーティストに一番影響を受けたのかを決めるのは難しいけれど、ビートルズやクイーン、デヴィッド・ボウイ、T.レックス、プリンスなどを聴いて育ったんだ」。

 またライト監督といえば、やや情けない主人公を愛情いっぱいに描くことが特徴としてあげられるが、本作では、新鋭アンセル・エルゴートが主人公ベイビーを務めた。「主役は観客から何らかの形で共感してもらえることが必要なんだ。その意味で、やや人間として欠けている部分を描くことによって共感を呼びやすい。『ホット・ファズ ‐俺たちスーパーポリスメン!‐』のニコラスはワーカーホリック、スコット・ピルグリムは人の気持ちを理解できない、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のショーンは最初怠けものと欠点がある。ベイビーは良い心を持っているけれど、間違った道に進んでしまうという部分に、観ている人は感情移入するんじゃないかな」と分析した。

 映像、音楽、ストーリー……映画らしい要素が満載の『ベイビー・ドライバー』。本作には相棒ともいえるサイモン・ペッグの出演はないが「わざわざお金を払って観てくれたみたいで、すごく気に入ってくれていた。また違う作品で一緒に仕事ができるよ」と満面の笑みを浮かべて語ってくれた。(取材・文・写真:磯部正和)

 『ベイビー・ドライバー』は、公開中。

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