鈴木勝吾、「生きる願望なくなっていた」演劇に救われた揺るぎない覚悟
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その後、映画『野良犬はダンスを踊る』での窪田将治監督との出会いや、主演作「『薄桜鬼』風間千景 篇」を経て、徐々に舞台の仕事が増えていったとのこと。「何事も一度躓いてからが勝負だなと思いますね」と微笑む鈴木は、芝居をしている自分こそが、本当の自分だとも語る。「以前に舞台の台詞で『うつし世はゆめ よるの夢こそまこと』という江戸川乱歩の言葉があったんですが、普通に生きている僕こそ夢で、舞台をやっているときの方が自分の真実というか…生を実感できるんです」。
まさしく自身を救った舞台の魅力を聞くと「僕みたいに、死力を尽くしている人を舞台上で見るのは、やっぱりすごく気持ち良い」と話す鈴木。これは極論ですけれど…と前置きしつつ「死ぬシーンで、そのまま死ねたらいいですよね」とも明かす彼には、実際に舞台上で死にかけた経験があったそう。「息も絶え絶えになるシーンをやっていたら、紙吹雪が喉に入ってしまい、呼吸ができなくなって、本当に死ぬかと思ったんです。舞台上で死んでもいいと思っていましたが、『やっぱり怖い』と一瞬感じた。だから、まだまだなんです」。舞台上で死ぬことすらも厭わないという鈴木。その横顔には、役者としての力強い情熱と、揺るぎない覚悟が漲っていた。(取材・文・写真:岸豊)
舞台「エン*ゲキ」シリーズ第3弾『ザ・池田屋!』は4月20日から30日まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。5月11日から13日まで大阪・ABCホールにて上演。