伊藤沙莉、過去の悔しさに「まだリベンジできてない」個性派女優の葛藤
実際、厳しい意見や辛いことを言われた経験はたくさんあったという。「子役からお芝居の仕事をやらせていただいているのですが、めちゃくちゃ悔しい思いをたくさんしてきました。もちろん悔しいことばかりではありませんが、でも『なんでわざわざ傷つきに行くんだろう』と思いながら現場に行っていたし、『いまに見ていろよ!』という思いで続けていた部分はあります」。
しかし、こうした苦い経験があるからこそ、見えてきた部分も多い。伊藤は「いまはこうやってメインでやらせていただけていますが、以前は『あっちにいってろ』と外から見ていたこともたくさんありました。でもそこから見ていた景色があるからこそ、いまこうしてやらせていただいても、変わらずいられるし、そういった経験が自分の肥やしになっているのは間違いないです」と断言する。
現在は多くのクリエイターから「沙莉ならなんとかしてくれるだろう」と期待されるほど頼もしい女優として存在感を示している。こうした現状に「自由な権利を与えてもらっている」と前向きにとらえる一方で、常に「こいつ意外とつまんねーな」と思われるかもしれないというプレッシャーと戦っているという。
「キャラクターをキャラクターとしてしか表現しないことが嫌い」という伊藤。「どんな人物でも一面的ではない」というところから役柄にアプローチし、立体的に人物を表現することが目標だという。本作で演じている千夏も「明るく元気で前向き」というキャラクターの奥にある機微をしっかりとらえていくことが自身の役割だと考えている。
過去の悔しい思いには「まだまだリベンジできていないです」と笑顔ながらも強い視線で語っていたが「役者・伊藤沙莉がもっと必要とされる人間にならなければいけないし、この役は伊藤じゃなければ…というところまで確立していきたい」と高い目標を口にしていた。(取材・文・撮影:磯部正和)
オトナの土ドラ『いつまでも白い羽根』は、東海テレビ・フジテレビ系にて毎週土曜23時40分放送。