バイプレイヤー・大倉孝二が抱える“ちゃんとした俳優”になっていく恐怖感
キャリアのスタートは小劇場。今も劇団ナイロン100℃に所属しながら、舞台・映像と幅広く出演を重ねている。近年はドラマ『アンナチュラル』(TBS)の毛利忠治刑事など、作品の中でもバイプレイヤーとして重要な鍵を担うことが多くなってきた。しかし本人としてはそんな近況にも思うところがあるようで。
「“ちゃんとした俳優”になっていくことに恐怖感があるんですよね。“ちゃんとしたくない”という思いがある」
“面白いこと”がやりたくて飛び込んだ俳優の世界。今もなお、自身にとってベストなのは「誰かが奔放にふざけさせてくれること」。でもキャリアと共に求められること、役割も変化してきたから「苦手なこともやらなきゃいけない、と思うようになった」。
ただ、前述の『アンナチュラル』や今回の映画のように、彼ならではのオフビートな面白さ、個性が色濃く出た役が多くなっているのも事実だ。
「多分若い頃のほうが『自分は変わったことや面白いことをやりますよ』というスタンスが強く出てて、それがうまく行ってなかったことのほうが多かったんだろうなと。だから今はあんまりそういうことは考えてないし、意識してないですね」。
自然体と天の邪鬼さ、長身の体躯の中に二律背反を抱えている印象。彼の放つ魅力と確かな存在感は、そんなところにあるのかもしれない。(取材・文・写真:川口有紀)
映画『君が君で君だ』は7月7日公開。