『ペンギン・ハイウェイ』で初主演、北香那の“ごっこ遊び”が花開く

関連 :
ドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)のジャスミン役で、「この子は誰!?」と注目した人も多いのではないだろうか。女優・北香那が今年の夏、森見登美彦の同名小説をアニメ化した『ペンギン・ハイウェイ』で初声優&主演に挑んだ。
【写真】『ペンギン・ハイウェイ』北香那インタビューカット
北が演じる主人公・アオヤマ君は、「一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録している」という男の子。通っている歯科医院の“お姉さん(蒼井優)”に思いを寄せる彼が、突然町に現れた大量のペンギンとお姉さんの“謎”を解き明かしていく、ひと夏の物語だ。
今回、オーディションでアオヤマ君役に決定した北は、通知をもらったときはうれしさのあまり泣いてしまったとか。どうしても役を勝ち取りたかった一番の理由は、アオヤマ君という役柄の魅力だ。
「声優のお仕事は初めてだったんですけど、アオヤマ君という役をとにかく演じたい! と思ったんです。賢いだけじゃなくて、ちょっかい出したくなるような感じといいますか…そんなアオヤマ君を自分が演じられたら、と思ってオーディションに挑みました」
しかし、森見作品ならではの独特の言葉遣いと、膨大なセリフ量。声優初挑戦の上、現在20歳の北が小学校4年生男子を演じるとあり、なかなか苦労も多かったようだ。
「家でセリフの練習をして現場に臨んだんですけど、台本を読みながらだとキャラクターの口の動きに合わせるのが大変で…結局普通の映像のお芝居と同じように台本を覚えてしまったんですけど、そうすると楽になりました」
ストーリーテラー的な役割もこなすアオヤマ君のセリフをほぼ覚えてしまったというから驚きだが、それだけこの作品に入れ込んでいたということだろう。監督からはアオヤマ君のキャラクターに関して、「北さんが思うアオヤマ君を作ってほしい」と言われ、あえて具体的なイメージは伝えられなかったとか。
「だから自分でいろいろ考えて、少し大人びた感じというか、あまり感情を入れ過ぎずカクカク滑舌良くしゃべる感じを意識しました。でも生意気なだけじゃなくかわいらしさも欲しいなと思って、実際にアオヤマ君くらいの男の子たちを観察してみたんです」という北。
「そのときに気づいた“語尾が抜ける”感じといいますか、滑舌が少し悪くなる感じも取り入れてみたつもりです。でもずっとアオヤマ君だったので、全部収録し終わったときはすごく寂しくて。しばらく家ではアオヤマ君口調でしゃべっていました(笑)」と振り返る。
映画の最大の魅力は「アオヤマ君とお姉さんとの関係性」だという。
「私が子どものころ、お母さんの友達ですごく美人の人がいたんです。その人がスカートを履いているとそのスカートが欲しくなった、という思い出が私にもあって…うんと年上のお姉さんへの憧れって、誰でも一度はあると思うんですよね。普通に生活してたら忘れちゃいそうなそういう気持ちを、この『ペンギン・ハイウェイ』を観て思い出してもらえれば、と思います」。