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松坂桃李、攻め続けて30歳 蜷川幸雄氏の「怠けるな」に今も背筋正す

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松坂桃李30歳、『ヘンリー五世』に挑む
松坂桃李30歳、『ヘンリー五世』に挑む クランクイン!

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 松坂桃李ほど若手時代に培ったパブリックイメージを脱する挑戦を行い、成功した俳優もいないのではないだろうか。そう思えるほど、近年の彼の出演作は挑戦的な作品が多く、作品ごとに違う顔を見せてきた。2018年10月に迎えた節目の30歳。意外にも「危機感、不安感は常に抱えてます」と語る松坂に、2019年に臨む心境を語ってもらった。

【写真】松坂桃李インタビューフォトギャラリー

 松坂の2019年は、吉田鋼太郎演出の舞台『ヘンリー五世』から始まる。故・蜷川幸雄氏の演出による2013年の『ヘンリー四世』に続き、2作目のシェイクスピア挑戦となるが、この6年で松坂の俳優としてのキャリアはぐっと厚みを増した。

 2017年、2018年に公開された作品だけでも、不倫に溺れる狡猾なデパート社員を演じた『彼女がその名を知らない鳥たち』、舞台と映画で限界ギリギリの過激な性描写にも挑んだ『娼年』、血みどろの暴力の中で正義が揺らぐ青年を繊細に演じた『孤狼の血』…。ドラマ『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』(日本テレビ系)、『この世界の片隅に』(TBS系)など比較的パブリックイメージに近い役の傍ら、あえてそれを壊すような作品、役柄に挑み続けてきたのは、この先の10年、つまり30代を俳優として生き残るための戦略だったという。


 「どの作品をやるにも、来年、再来年…30代、40代、50代の自分は何をやってるんだろう、と未来の自分を考えながら仕事に取り組んでいます。性格もあるんでしょうね(笑)。でも、作品1つひとつを代表作にしようという思いは、30歳になってからの方が強いです。20代はわりとがむしゃらだったので」。

 「守りに入るよりも、攻め続けるほうが性に合っている」とも語る実際の松坂は、その自己分析とも、近年の強烈な作品のイメージとは全く異なる好青年。同じ事務所の後輩である俳優・菅田将暉のラジオ番組『菅田将暉のオールナイトニッポン』にたびたびゲスト出演しては『遊戯王』のアプリゲームについて尋常じゃない熱さで語る一方、同じ事務所の先輩俳優・中村倫也と菅田には同番組で「ストレスの発散が下手そう」とも心配されている(2018年10月15日放送)。

 「ちゃんと発散してます! アウトドアとか旅行とか、分かりやすい発散方法を持ち合わせていなくて…基本的に地味なんです。家にこもってゲームをしたり漫画読んだりお酒飲んだり、のんびり過ごすと元気になるので、記事にしても全く面白くない(笑)。でも、仕事が続くとそういうリセットできる時間がやっぱり必要になってきます」。

 以前、松坂は性格診断で「精神年齢が小学校高学年~中2のままで止まっている」と言われたことがあるという。オフに存分に“少年”に戻っているからこそ、どんな役にも飛び込んでいけたのだろう。ただ、そんな内面の自分と、30代の自分にはまだ少しギャップもあるようだ。

 「30歳になった途端、子どもを持つ父親役のオファーが続いたんですよね。そうか、30歳って世間一般的にはそうなのか、と。次はそこに向けて動いていかなくちゃいけないなと思います」。


 攻め続けて迎えた2019年、『ヘンリー五世』では満を持しての再会が待っている。今回演じるヘンリー五世は、『ヘンリー四世』で松坂が演じたハル王子が成長した姿。2016年5月に逝去した蜷川氏の後を継ぎ、演出を手がける吉田は『ヘンリー四世』ではハル王子の相棒役だった。以降も共演が多く、吉田の言動を挙げては「あのフザけたおじさんは何を考えているんでしょうね(笑)」と突っ込む松坂の笑顔には、とてつもない信頼がにじむ。

 「当時の鋼太郎さんは、シェイクスピア独特の言い回しや蜷川さんが言ったことを僕に細かくひも解いて教え、役柄でも私生活でも相棒として支えてくれたんです。その鋼太郎さんが今度は演出家も兼任し、僕が舞台の中央に立つ。なんだか、蜷川さんからのバトンを鋼太郎さんに渡されるようにも思えるんです」。

 松坂が初めて演劇の舞台に立ったのは、デビュー作『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)を終えて程なくの『銀河英雄伝説』(2011年)。『ヘンリー四世』はその2年後だが、「舞台に立つことへの恐怖心やトラウマがまだまだあって、悩むことも多かったのですが、それらを取り払うことができたのは、蜷川さんの存在があったからだと思います」と振り返る。

 その蜷川氏には、舞台本番、地方公演と回る中で言われた忘れられない言葉があるという。


 「『おい、桃李! 怠けるんじゃないよ。お前はすぐに手を抜く癖があるんだよ!』って。背筋がバッと伸びましたね。毎日舞台に立つプロである以上、当たり前に持っていなくてはいけない“鮮度”が落ちていたんだなと。この言葉は、今でも頭の中に出てきます」。

 再会もまた、かつての自分を越えていくという新たな挑戦。「この先の10年がどうなるかは、まだ明確には見えてきてないです」と語りながら、「30代は20代と違い、しっかり、じっくりと向き合っていく挑戦の仕方をしたい」と語る松坂。彼の“攻め”の姿勢を、私たちはまだまだ楽しむことができそうだ。(取材・文:川口有紀 写真:高野広美)

 彩の国シェイクスピア・シリーズ第34弾 舞台『ヘンリー五世』は、彩の国さいたま芸術劇場公演2019年2月8日~24日、仙台銀行ホール イズミティ21公演3月2日・3日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演3月7日~11日上演。

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