鷲見玲奈、“ライバル”はあえて作らない「誰かと比べてしか頑張れなくなる」
「自分を消せ」と言われてきた局アナ時代 フリー後は“自分の話”で悪戦苦闘中
――局アナ時代とフリーランスになってからで、違いを感じるのはどんな点ですか。
鷲見:ファンの方との距離が近くなったことはありますね。アナウンサーはもともと情報を伝える仕事で、アイドル的な位置づけではないじゃないですか。その点、今の位置づけでは立場があい昧であり、融通の効く部分でもあるので、いろいろ挑戦させていただける幅は広がっていると思います。
――フリーになられてから改めて難しさを感じたこともありますか。
鷲見:難しいなぁと思うのは、トーク番組などでエピソードトークや自分のことを話すことですね。アナウンサーのときには、とにかく「自分を消せ」と言われることが多く、忠実に台本に沿って情報を伝える必要がありました。自分が取材してきた話やエピソードを入れるすき間もあまりなかったんです。だから、今は短時間で自分の話を面白くするのが本当に難しくて。それに、私はもともと記憶力があまり良い方じゃないので、エピソードを聞かれても、ぱっと思い出せないんですよね。だからスマホにメモをして、日常の何気ない出来事などを覚えておくようにはしているんですが、まだまだ難しいですね。
――共演者の方からアドバイスをもらったこともありますか。
鷲見:残念ながらあまりないですね。コロナ禍で、共演者の方とご飯にもあまり行けないですし、だいぶ前から感染拡大予防として楽屋あいさつもなくなっていて、現場以外で話せる機会がほとんどないんです。(おぎやはぎ)矢作(兼)さんや(ビビる)大木さんには『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系/毎週水曜21時)でずっとお世話になっていたので、連絡を取らせていただくこともありますが、アドバイスは基本ないですね(笑)。
ライバルはあえて作らない「誰かと比べてしか頑張れなくなる」
――ライバルとして意識する方はいますか。
鷲見:うーん、どうだろう…。あえてライバルは作らないようにしています。芸能界にはすごくきれいな人、スタイルが良い人、お話が上手な人、いろんな魅力を持った方々がたくさんいるので、その中で特定の誰かを意識してやっていくと、そこしか見えなくなってしまうと思うんです。うらやましいという気持ちは妬みにつながってしまって、もし自分の中に伸ばせるものがあったとしても、誰かと比べてしか頑張れない、伸びることができなくなってしまう気がします。そういう意味では自分自身と向き合って、自分のどういうところを伸ばして、成長していかないといけないかを常に考えるようになりました。
――実際に1年半の間にご自身で一番成長したと感じるのはどんなことですか。
鷲見:トークの「間」ですかね。昔に比べるとほかの方とあんまりバッティングしなくなった気はします。「今回、(人のトークを)ジャマしちゃったな」ということもありますが、そういう苦い経験も糧にして、次に頑張っていくしかないかなと思っています。(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)
鷲見玲奈ファースト写真集『すみにおけない』は集英社より発売中。価格は2200円(税込み)。