西鶴一代女

【解説/みどころ】
敗戦後低迷を続けていた溝口健二が西鶴の『好色一代女』をもとに、全身全霊を打ち込んで完成させた彼の最高傑作。奈良の荒れ寺へ客にあぶれた街娼たちが集まり、グチを言いあっている。その中に厚化粧でも年は隠せないお春という女がいた。その夜、巡礼帰りの百姓たちの前に引きだされ、“こんな化け猫をおまえたちは買いたいのか”とさらし者になった彼女は、我知らず寺の羅漢堂に入っていく。居並ぶ五百羅漢を眺めやるうちに、羅漢像の一つ一つが過去の男たちに見えてくるのだった。こうして時代は一気にさかのぼり、彼女が御所づとめに出ていた13歳の時からの流転の生涯が綴られていく。様々な男たちと出会い、別れていくたびに不幸になっていくお春を通して、封建制度下に自我を通そうとした女の悲劇を優しく、そして苛烈に描ききっている。溝口一流の長回しが随所で効果を上げており、また巨大なセットの空間の広がりに圧倒される。田中絹代も一世一代といえる名演を見せた。
- キャスト
- 田中絹代/ 山根寿子/ 三船敏郎/ 宇野重吉/ 沢村貞子/ 菅井一郎/ 松浦築枝/ 進藤英太郎/ 大泉滉/ 毛利菊枝/ 加東大介/ 清水将夫/
- スタッフ
- 監督: 溝口健二 脚本: 依田義賢 原作: 井原西鶴
- 上映時間・制作年
- 137分/1952年
- 制作国
- 日本
- 配給
- 新東宝=児井プロ
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