ベルリン金熊賞受賞!監督が自主検閲した話題作『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』予告編解禁
ラドゥ・ジューデ監督最新作で、第71回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したルーマニア映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』より、予告編が解禁された。
【動画】『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』予告編
本作は、セックスという極私的で本能的な行動がひとたび他人の目にさらされることで、事態が思いもよらない方向へ転がってゆく様を、社会の偽善や偏見を浮き彫りにしつつブラックユーモアで鋭く描くコメディー。世界が同時に経験したパンデミックとその後の社会の閉塞(へいそく)感を背景に、“卑わい”とは何かを改めて問いかける。
冒頭のあけすけな本番セックスシーンに始まる、この挑戦的なルーマニア映画に、ベルリン国際映画祭は金熊賞を授与。その後、本年度アカデミー賞国際長編映画賞ルーマニア代表作品、さらにニューヨーク・タイムズが選ぶ 2021年ベスト10第2位に選出された。 “監督〈自己検閲〉版〉”と大々的にうたわれた本作は、シーンの要所要所に「殺人シーンはOKで、フェラはNGだって?」「見られなくて残念!」「検閲版だよ!」といったアイロニカルで挑発的、ユーモアあふれるメッセージが文字通り本編に映し出されてゆく。
「抗不安薬を。1錠でいいんです。今夜かなり緊張しそうで」。ルーマニア・ブカレストの名門校教師エミは、薬局で薬を所望。彼女を待ち受けているのは、夜に控えた緊急招集の保護者会だ。エミは夫とのプライベートセックスビデオが意図せずネット上に流出。瞬く間に拡散し、生徒や保護者の目に触れ、事情説明のために日中校長宅に向かっていた。
予告編では街をさまようエミの姿を追い続け、彼女に募る不安といら立ちが社会全体にまん延しているかのような一触即発な緊張感が漂っている。さらに畳みかけるようにどこか突拍子もないモンタージュの数々が、皮肉たっぷりに挑発的に重ねられていく。
三部仕立てになっている本作では、第一部では、エミが歩き回る姿を追いつつ、すれ違うコロナ禍の人々や街の顔を捉え、第二部では、膨大なアーカイブ映像やコラージュ、そしてジューデ監督の頭の中をのぞくかのような<パゾリーニ、ベンヤミン、ブレヒト、クンデラ、サルトル、ウルフ…>といった歴史、神話、映画監督、思想家らの格言やジョークの蓄積が大放出。そして第三部では、学校でのエミの異端審問さながらの保護者たちによる終わりなき“裁判”がついに開かれる―。
映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』は、4月23日より全国順次公開。