少女の狂気の芽生え、‘それ’が卵から誕生する瞬間も捉えた『ハッチング』場面写真
映画『ハッチング―孵化(ふか)―』より、主人公である少女の狂気の芽生えや、少女が育てた‘それ’が孵化し誕生する瞬間などを捉えた場面写真10点が一挙解禁された。
【写真】卵から生まれる瞬間も 『ハッチング―孵化(ふか)―』場面写真
本作は、北欧フィンランド発のイノセントホラー。1月下旬に開催された第38回サンダンス映画祭でのプレミア上映で話題を呼び、3月に本国フィンランドでの公開を控える注目作だ。
フィンランドで暮らす、幸せな4人家族。だが、それは表向きの姿。少女が孵化させた卵が、絵に描いたような幸せな家族のおぞましい真の姿をさらしていく―。
主人公の12歳の少女ティンヤを演じるのは1200人のオーディションから選ばれたシーリ・ソラリンナ。母親を喜ばせるために自分を抑制する、この年代特有のはかなさや危うさを、初演技ながら見事に演じきっている。母親役はフィンランドで多くの作品に出演するソフィア・ヘイッキラ。理想の家族像を作り上げ、娘を所有物として扱う自己中心的な母親を演じている。メガホンをとるのは、本作が長編デビュー作となる新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルム。北欧ならではの明るく洗練された一家の中に潜む恐怖を見事に切り取ってみせている。
解禁となった場面写真では、ティンヤと母親の仲むつまじそうな姿を捉える一方で、母から押さえつけられたティンヤが見せる恐怖の形相、ティンヤが持ち帰ってきた不思議な卵を自室のベッドで誰にも内緒で大事に育てていく様子、そしてティンヤが育てた卵が巨大化して‘それ’がついに姿を現した衝撃的な瞬間などを捉えている。
母からの過度な期待に応えることにとらわれているティンヤの内面や混乱がストーリーに大きく関わっていくが、‘それ’とは何者なのか、その出現によりティンヤと一見洗練された家族を襲う恐怖の行方が気になるカットとなっている。
本作のプロジェクトの始まりは、2014年に開催されたイベントでの監督と本作の脚本家イリヤ・ラウチとの出会いだったという。そこで少年が鳥の卵を孵化させるというアイデアを聞いた監督は、主人公を少女にすることを提案し、ふたりは脚本開発に取りかかった。
監督は「物語は母と娘の2人の強い女性を中心に描いていて、この映画は鎧をまとい、対面を保つことをテーマにしています」と語る。さらに、「多くの観客、特に女性の方は、映画を通して誰かをコントロールしたい、喜ばせたいという衝動と、不完全な自分の姿を見せることへの恐怖に気づくことになると思います」と、本作が描き出すものを示唆している。
映画『ハッチング―孵化―』は、4月15日より全国順次公開。