SNSでは“理想的な家族”を襲う、悪夢の始まり――『ハッチング』本編映像
北欧発ホラー映画『ハッチング―孵化―』より、SNS上で取り繕う“理想的な家族”を襲う悪夢の始まりを予感させる本編映像が解禁された。
【動画】悪夢の始まりを予感させる『ハッチング―孵化―』本編映像
本作は、少女が孵化させた卵が、一見絵に描いたような幸せな家族のおぞましい真の姿をさらけ出していくイノセントホラー。今年1月に開催された第38回サンダンス映画祭では、その不穏でありながらも美しさを感じさせる世界観で大きな話題を呼んだ。メガホンをとるのは、本作が長編デビュー作となる新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルム。
今回解禁されたのは、北欧で暮らす表面上は“理想的な家族”を襲う、悪夢の始まりを予感させる本編映像。母親がSNSにアップするために撮った“ごく普通の”家族の日常を切り取った動画を、ティンヤと母親が見ている場面から始まる。ティンヤはそこに収められた自分の練習風景でポーズが決まっていないことに気付くが、母親は「カットすればバレないわ」と微笑む。しかしティンヤが、隣に引っ越してきた少女から家に招かれたことを告げると、母親は威圧感を漂わせながら「『大会に集中する』と言ったわよね? まさか気が変わったの?」と娘の願いを拒否。
その夜、ベッドに横になっていたティンヤは、窓の外から奇妙な鳴き声を聞きつけ、何かに誘われるように庭に出る。以前家に飛び込んできた時に母親が首を絞め、ゴミ箱に捨てたはずの黒い鳥。だが、なぜかゴミ箱にあるはずの鳥の死骸はない。そして、ティンヤが深い幻想的な森を進んだ先にあったものは…。
ティンヤは、家族を巻き込み熱心にSNSに投稿する母親を喜ばせたい一心で、無意識のうちに本心を抑えている。この本編シーンからも、母親の顔色を何度も伺うティンヤの不安そうな表情が確認でき、そんなティンヤが抱える抑圧や混乱が、彼女がこのシーンの後で出会う不思議な卵に、大きな影響を与えることになる。
オーディションで、フィンランド全土から集まった1200人の中からティンヤ役を勝ち取ったのは、演技未経験のシンクロナイズドスケート選手であるシーリ・ソラリンナ。ベルイホルム監督によると、一次審査のビデオ提出の時点からソラリンナの存在感は際立っていたという。
「とても難しい役どころを演じている。大人でさえも、映画でこれほど過酷な役を演じるのは見たことがないくらいだった。例えば泣くシーンでも、シーリに『じゃあ、カメラを回すよ』と言うと、彼女はちょっと目に涙を浮かべ、少し集中するだけで目を潤ませて泣き始めるの。全てにおいて素晴らしかった」とソラリンナの才能を褒め称えている。
映画『ハッチング―孵化―』は、4月15日より全国順次公開。