セクシュアリティを悟られないよう“ニセモノの恋人”を演じる2人 『恋人はアンバー』新場面写真
同性に恋する高校生の男女が“ニセモノの恋人”を演じる姿をチャーミングに描いたアイルランド映画『恋人はアンバー』より、青春感あふれる場面写真が解禁された。
【写真】映画『恋人はアンバー』、青春感あふれる場面写真
本作は1995年、同性愛が違法でなくなってから2年後のアイルランドが舞台。同性愛者への差別や偏見が根強く残る田舎町で、自身がゲイであることを受け入れられない高校生・エディと、レズビアンであることを隠しているクラスメイトのアンバー。家族や同級生にセクシュアリティを悟られないように平穏に卒業を迎えるため、2人は“ニセモノの恋人”を演じることに。性格も趣味も全く違う2人だったが、ぶつかり合いながらも、悩みや夢、秘密を打ち明けるうちに、唯一ありのままの自分をさらけ出せる、かけがえのない存在になっていく。しかし、一緒に訪れた都会・ダブリンで、特別な出会いを果たし、あたらしい世界に触れた2人は、“理想的”だったこの関係にも終わりが近づいていることに気づいてしまい…。
アイルランド映画というと、ジョン・カーニー監督作『ONCE ダブリンの街角で』『シング・ストリート 未来へのうた』がよく知られている。アイルランドの都市・ダブリンを舞台に、地元の男とチェコからの移民の女が音楽を通して心を通わせていくラブストーリー『ONCE ダブリンの街角で』(2007)は、アカデミー賞受賞をはじめ、サンダンス映画祭、ダブリン国際映画祭など世界各国で称賛を浴びた傑作。同じダブリンを舞台に、一目ぼれした女の子の気を引くためバンドを結成した男子高校生の心の成長を描いた『シング・ストリート 未来へのうた』(2016)も、ゴールデングローブ賞にノミネートされ大ヒットを記録した。
さらに、ジョン・クローリー監督作『ブルックリン』(2015)は、アイルランドの地方にある小さな町に住む女性が、渡米したニューヨークで出会った男性との恋によって自身の人生を大きく変え、アイルランドに帰郷すると運命的な再会を果たす…というストーリー。こちらもアカデミー賞、ゴールデングローブ賞など名だたる賞にノミネートされ絶賛された。こういったアイルランド映画の特徴について、ケルト文化のイベント「ケルト市」を主催する音楽プロデューサーの野崎洋子氏は「最後にポジティブなメッセージを受け取れる」と評している。
『恋人はアンバー』は、そんな名作揃いのアイルランド映画の流れを汲んだ最新作。ジョン・カーニー監督作品のように、作中で流れる音楽がより雰囲気を盛り上げるが、カーニー監督作品と異なるのは舞台が首都・ダブリンではなく、地方の小さな町であること。今回解禁されたのは、そんな本作の青春感あふれる場面写真。エディとアンバーが映画館で初デートするシーンや、エディがアンバーにみんなの前でキスしようと提案する場面、卒業式の日などが切り取られている。
また今回、本作を「EUフィルムデーズ」などの映画祭に提供した駐日アイルランド大使館より、日本の観客に向けたメッセージも到着。本作について「アイルランドの俳優や監督のすばらしい才能が余すところなく発揮されており、元気でユーモアあふれるアイルランドの若者たちの姿が描かれている。また、今年のEUフィルムデーズのテーマであるソーシャル・インクルージョン(社会的に弱い立場にある人を排除・孤立させることなく、共に支え合う社会)にぴったりで、友情、他者を受け入れること、平等、多様性、周囲から浮いてしまうことを恐れず自分らしさを追求することの大切さ、といった普遍的な問題に焦点を当てている」とコメント。
続けて「アイルランドは、国民投票によって同性婚が合法化された世界初の国。アイルランドの価値観を海外に広める重要な要素として、ここ日本をはじめとする世界中でLGBTQの人々の平等な権利の支援にアイルランドが尽力していることを知ってもらいたい」とメッセージを寄せている。
映画『恋人はアンバー』は11月3日より全国公開。
※メッセージ全文は以下の通り