東京国際映画祭、『ザ・ビースト』が3冠!シム・ウンギョンは梨泰院事故に哀悼
第35回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが2日、都内で開催され、スペイン・フランス合作映画『ザ・ビースト』が、コンペティションの最高賞となる東京グランプリ/東京都知事賞をはじめ、最優秀監督賞、最優秀男優賞の3冠を獲得した。また今泉力哉監督&稲垣吾郎主演の『窓辺にて』は観客賞を受賞した。
【写真】『窓辺にて』で観客賞を受賞した今泉力哉監督も登壇
107の国と地域から総数1695本の作品が集まった今年のコンペティション作品。見事栄冠を勝ち取ったのが、スペイン・フランスの合作となる映画『ザ・ビースト』だ。本作は、スペイン、ガリシア地方の人里離れた山間の村を舞台に、移住して農耕生活を始めたフランス人の中年夫婦が直面するさまざまな問題をスリリングに描いた作品。
審査委員長を務めたジュリー・テイモアは「深く感動的なラブストーリーという面を持ちつつ、階級の格差や外国人問題など非常に重層的なテーマがある傑作」と文句なしのグランプリだったと評価する。この日は小池百合子東京都知事がプレゼンターとして駆け付けたが「緊迫の国際情勢、急激な気候変動、さらには感染症など、世界は大変厳しい状況にあります」と前置きすると「そんな困難を克服して未来に進むためには、芸術文化の多様性は欠かせません。映画には人々をつなぐ力がある。映画祭を通じて、相手の個性や考えを尊重し、一人一人の心に夢や希望が育まれることを期待します」とコメントを寄せていた。
また稲垣主演の『窓辺にて』が観客賞を受賞した。今泉力哉監督は「このような光栄な賞をいただきありがとうございます」と照れ笑いを浮かべると「世界には戦争やジェンダーなどさまざまな問題があるなか、僕はとるに足らないような小さな題材の恋愛映画を撮り続けています」と自身のスタンスを述べる。
さらに今泉監督は、先日稲垣が新型コロナウイルスに感染したことに触れ「稲垣さんと一緒に作った作品ですが、11月4日の初日の舞台挨拶にも登壇できないという状況になってしまっています。でもこうしたこともネガティブに捉えるのではなく、小さな喜びを見いだせるように自分なりの表現で考えていきたい」とピンチもチャンスに変えられえる映画の力に思いをはせていた。
この日は、コンペティションの審査員を務めた女優のシム・ウンギョンも登壇。先日ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で起きた痛ましい事故について触れると「梨泰院の雑踏事故に、心から哀悼の意を表します」と語っていた。
・東京グランプリ/東京都知事賞:『ザ・ビースト』ロドリゴ・ソロゴイェン監督
・最優秀監督賞:『ザ・ビースト』ロドリゴ・ソロゴイェン監督
・最優秀女優賞:『1976』アリン・クーペンヘイム
・最優秀男優賞:『ザ・ビースト』ドゥニ・メノーシェ
・審査員特別賞:『第三次世界大戦』ホウマン・セイエディ監督
・最優秀芸術貢献賞:『孔雀の嘆き』サンジーワ・プシュ監督
・観客賞:『窓辺にて』今泉力哉監督
・「アジアの未来」作品賞:『蝶の命は一日限り』モハッマドレザ・ワタンデュースト監督
・Amazon Prime Video テイクワン賞:該当なし