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セザール賞最多7部門受賞 バルザック原作、ヴァンサン・ラコスト&グザヴィエ・ドランら共演『幻滅』来年公開

映画

 オノレ・ド・バルザックによる名作小説を映画化し、2022年度の第47回セザール賞で7部門を受賞したフランス映画『Illusions perdues(原題)』が、邦題を『幻滅』として2023年に公開されることが決定。ビジュアルが解禁された。

【写真】少年同士の瑞々しい刹那の恋――『Summer of 85』ときめきに満ちた場面写真

 原作は、社会を俯瞰し、そのなかで翻弄されるさまざまな人間像を冷徹に描いたオノレ・ド・バルザックが、44歳で書き上げた「人間喜劇」の一編、「幻滅——メディア戦記」。この作品に学生時代から魅了されていたグザヴィエ・ジャノリ監督が、念願だった映画化を実現。200年も前の物語とは思えないほど現代と酷似したメディアの状況を鋭利に描く社会派人間ドラマに仕上げた。

 2022年度の第47回セザール賞において、作品賞のほか、最優秀助演男優賞(ヴァンサン・ラコスト)、有望新人男優賞(バンジャマン・ヴォワザン)を含む最多7冠を獲得した。

 主人公リュシアンを演じたのは、フランソワ・オゾン監督作『Summer of 85』で日本でも大きな注目を浴びたバンジャマン・ヴォワザン。本作では初のコスチューム劇に挑み、純粋な青年が野心と欲望に惑わされ堕落していく過程を見事に演じきった。

 リュシアンの先輩格として彼を教育していくジャーナリスト役は、『アマンダと僕』のヴァンサン・ラコスト。私欲にまみれた人々のなかで唯一、誠実にリュシアンを見守る作家ナタン役は、監督としても世界的な人気を誇るグザヴィエ・ドラン。そのほか、セシル・ドゥ・フランス、新星サロメ・ドゥヴェル、名優ジェラール・ドパルデュー、ジャンヌ・バリバール、さらに本作が遺作となったジャン=フランソワ・ステヴナンら、フランス国内外の実力派俳優が勢揃いした。

 ビジュアルは、大きく手を広げる主人公リュシアン(バンジャマン)をメインに多彩なキャスト陣が集結した、当時の華やかな雰囲気が伝わるビジュアルとなっている。

 19世紀前半、打算的な人々が集まり、生き馬の目を抜くようなパリの都とマスメディアの世界で、現代でいうフェイクニュースやステルスマーケティングがすでに横行していた驚きの事実をあぶり出す本作。そんな現代的な要素を強調しながら、風刺に富んだエンターテインメントを織り成したジャノリ監督は「わたしはとても肉体的な感覚や刺激を映画に持ち込みたかった。サロンの人々の動き、パリの異なるエリアの大衆の猥雑とした雰囲気、あるいは時代が移り変わっていくそのスピード、そういったダイナミックなムーブメントを生み出しながら、ここに登場する人々の人生、悲劇と喜劇を結びつけたいと思ったのです」と語っている。

 映画『幻滅』は2023年全国公開。

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