『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』100周年を迎えるディズニーが作品に込めたメッセージとは
現在公開中のディズニー・アニメーション最新作『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』。スケール感あふれる壮大な冒険と、かけがえのない家族の絆を描いたアクション・アドベンチャー作品を手掛けたのは、日本でも興行収入90億円を突破した『ベイマックス』のドン・ホール監督ほか、ディズニーを代表するレジェンドクリエイターたち。世界中から愛され続ける名作アニメーションの数々を生み出し続け、ついに2023年に設立100周年を迎えるディズニー・アニメーション・スタジオが、記念すべきタイミングで誕生させた最新作に込めた思いとは? 製作陣のコメントから辿る。
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本作の主人公は、若いころに行方不明となった偉大な冒険家の父へのコンプレックスから冒険嫌いとなった農夫サーチャー。豊かな国アヴァロアで愛する息子のイーサンと妻と共に静かに暮らしていたが、ある日、アヴァロニアのエネルギー源である植物が絶滅の危機を迎え、世界は崩壊へと向かう。この危機から救うため、サーチャーたちは地底に広がる“もうひとつの世界<ストレンジ・ワールド>”へと足を踏み入れる―。さまざまな危険に直面しながらも、世界を救う鍵を探すサーチャーたち。やがてサーチャーたちは、“もうひとつの世界”に隠された“衝撃の秘密”を知ることに。そしてそのことが、サーチャーたちが「未来のために、いまの行動を変えなければならない」と気づくきっかけとなる―。
■次の世代により良い未来を残すためには何をすべきなのか
ドン・ホールは「私には子供がいるので、父と息子について描くこの物語には、個人的に強い共感を覚えます。わが子のためにより良い世界を残したいという想いが、僕たちのインスピレーションとなっています。私たちはこの映画の話を作る上で、自分たちに、とても重要で大きな問いかけをしました。“どうすれば良い先祖になれるのか”です」と本作誕生の経緯を説明。
さらに「これから30年後、僕らの子供たちが大人になった頃、世の中はどうなっているのだろうか。今のままで行くならば、わが子たちにとって良い状況になっているとは思えない。僕たちが前の世代から引き継いだのとは全然違うものを彼らは引き継ぐことになる」とも語っており、本作は、<いまを生きる私たちが、次の世代により良い未来を残すためには何をすべきなのか>という深い問いを与える一作なのだとしている。
■地球の未来のために、いまをどう生きるべきか
共同監督・脚本を務めたクイ・グエンもまた、「今日、自分たちが下す決断が、次の世代に影響を与えるかもしれません。そのことをどう意識すれば良いのでしょうか? 今日のため、明日のための世界を、どう作っていけば良いのでしょうか? 私たちは、フィルムメーカーとして、私たちと地球の関係について何かを言う機会でもあると感じました」と話し、本作で描かれるサーチャーたち家族の物語は、観客たちに、<地球の未来のために、いまをどう生きるべきか>を改めて考えさせると説明している。
■制作にたっぷり時間をかけた
“ディズニー史上最も不思議な世界”での冒険という、ディズニー作品ではおなじみの子供から大人までが楽しめるファンタジー要素に加え、考えれば考えるほど深いメッセージを含んだ本作。ちなみにドンは「この話を作るのには、長い時間がかかりました。『ラーヤと龍の王国』よりも前、2018年からです」と本作の制作期間を明かしている。ドンたちレジェンドクリエイター陣が、来たる100周年に向けて温めてきた渾身(こんしん)の一作だということが見て取れる。
アニメ映画『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』は公開中。