ベルリン映画祭金熊賞『アダマン号に乗って』、内田也哉子ナレーションの本予告到着
第73回ベルリン国際映画祭にて金熊賞を受賞した、日仏共同製作によるニコラ・フィリベール監督最新作『アダマン号に乗って』(4月28日公開)より、内田也哉子がナレーションを務める本予告が到着した。
【動画】内田也哉子がナレーションを担当 映画『アダマン号に乗って』本予告
本作は、世界的ヒット作『ぼくの好きな先生』(2002)などで知られる、現代ドキュメンタリーの名匠ニコラ・フィリベール監督の5年ぶりとなる最新作。舞台は、パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船にある、ユニークなデイケアセンター・アダマン号。ここでは精神疾患のある人々を無料で迎え入れ、絵画、音楽、ダンスなどの文化活動を通じて、社会と再びつながりを持てるようサポートしている。運営するのは、精神科医療の世界で起こる“質の低下”や“非人間化”の波にできる限り抵抗しようとするチームだ。
患者もスタッフも区別なく、誰もが生き生きと魅力的に過ごせるこの場所を「奇跡」だと称えるニコラ監督は、本作でここにやってくる人たちに寄り添い、言葉や表情の奥に隠された人間性に触れていく。今年2月に開催された第73回ベルリン国際映画祭にて最高賞となる“金熊賞”を受賞した際、審査員長を務めたクリステン・スチュワートは「本年度の金熊賞をこの作品に贈るのは光栄です」と賛辞を寄せた。同賞の大きな反響を受け、すでに25ヵ国以上での公開が決定している。
このたび、エッセイストの内田也哉子がナレーションを担当した本予告が到着。「月曜日にする大事なことは?」「新入りの歓迎だ」「よく出来ました」というやりとりから始まる。続いて「パリ、セーヌ川に浮かぶアダマン号。ここは、精神疾患のある人たちが通うデイケアセンター。今日も、いろんな人たちがやってきます」「さまざまな活動を通して目指すのは、社会とのつながり」という内田のナレーションと共に、個性豊かな人々が思い思いに活動する様子が映し出される。
「精神疾患は治ると思う。私は治ると信じてる」と語る女性。「僕らの表情が人と違うせいなのか、好奇の目にさらされるのが辛い」と訴える男性。またある男性は「父は僕の幸福だけを願ってた」と語り、「君が病気だったから?」と聞かれると「僕は今でも病気だ」と答える。
終盤では、笑顔で生き生きと過ごす人々の映像と共に「この船の存在は、この時代にもたらされた奇跡なのかもしれない」「アダマン号の日々を、優しい眼差しで見つめるドキュメンタリー『アダマン号に乗って』」という内田のナレーションが流れ、「皆さんには存在したいという欲求がある。それが大切だと思うの」と呼びかける女性の言葉で幕を閉じる。
ナレーションを務めた内田は、本作について「『セーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船』。まるでおとぎ話の舞台のようなほんとうの話。このフィルムが、ある日常を映し出しているという紛れもない奇跡に、生きることの根っ子を見る。私と私じゃない人の境目は幻想だということも。ニコラ・フィリベール監督の平らかな眼差しに、ただ ただ感服する」とコメントを寄せている。
映画『アダマン号に乗って』は、4月28日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開。