スペイン・フランス合作の心理スリラー『理想郷』、衝撃の特別映像到着 斎藤工らの絶賛コメントも!
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スペイン・フランス合作映画『理想郷』より、移住者を襲う村人からの数々の嫌がらせを映し出す特別映像が解禁された。また、森達也、斎藤工、筒井真理子ら、映画をいち早く鑑賞した各界著名人たちから絶賛コメントが到着した。
【動画】移住者への嫌がらせが次々と――映画『理想郷』特別映像
都会を離れて田舎で過ごすスローライフに夢を抱き、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦のアントワーヌとオルガが主人公となる本作は、『わらの犬』(1971/サム・ペキンパー監督)でも描かれた“田舎と都会の対立”がテーマ。2010年の発覚から裁判が終わるまでの8年間多くの新聞が報道するなど、スペイン全土に激震が走った実際のある事件をベースに映画化された心理スリラー作品だ。
第35回東京国際映画祭にて最優秀作品賞にあたる東京グランプリ(東京都知事賞)のほか、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞の主要3部門を獲得。第37回ゴヤ賞で最優秀映画賞、最優秀監督賞など主要9部門受賞し、スペインで2022年に公開された独立映画の興行収入1位を獲得。その後も、第48回セザール賞最優秀外国映画賞をはじめ、世界で56の賞を獲得(8月25日時点)するなど好評を博した。
<移住者を襲う嫌がらせセレクション>と題した特別映像では、映画本編の中から、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦の、主にアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)を襲う村の隣人兄弟による嫌がらせの数々をピックアップ。
村に住む男たちが集うバーで彼らを避けるアントワーヌがシャン(ルイス・サエラ)からかけられた嫌みをとらえた【移住先で洗礼を受ける】、車が故障し立往生していたアントワーヌがロレンソ(ディエゴ・アニード)から車に乗るようと声をかけられるが、乗る前に何度も車を発車される【からかわれる】、庭に置いてある椅子に尿をかけられてしまう【庭の椅子を汚される】、アントワーヌと妻のオルガ(マリナ・フォイス)が手塩にかけて育ててきた有機トマトに何かが混入され、壊滅的なダメージを受ける【作物を台無しにされる】、そして車で逃げようとするアントワーヌにシャンから鬼のような形相でつかみかかられる【唾を吐きかけられる】…という5つの衝撃シーンを紹介していく。
しかし、この映像では嫌がらせの数々に見舞われるアントワーヌにも、劇中相手を明らかに見下す独り言をつぶやいたり、移住者のエゴを押し付けようとしたり、カメラで隠し撮りをしたりと眉をひそめずにはおれない言動が。そして嫌がらせをするこの隣人兄弟にも事情はあり、この村で一生生きていくしかないという悲哀や移住者によって故郷が脅かされる恐怖なども見え隠れし、映画は後者だけをことさら悪者として描くことはしない。
脚本も務めたロドリゴ・ソロゴイェン監督は「ヨーロッパの都会人と、スペインの田舎の人間というと、後者がより無知で迷信深く、都会人の方が優れていると考える人が多いかもしれません。でも、彼らの対立を浮き彫りにしていくためには、前者と後者では与えられる機会が不公平なほどに違うということや、人の視野が広がるためには、文化が不可欠であるということも表現したかったのです」とこの対立を描き出す上での狙いを語っている。
本作について、実際の虐殺事件を元にした初フィクション監督作『福田村事件』も記憶に新しい映画監督・作家の森達也は「観終えて余韻に浸り続けている」などとコメント。
昨年の東京国際映画祭で本作を鑑賞している俳優・映画監督の斎藤工は「あまりにも他を逸する圧巻な悪魔的なエネルギーを客席に放ち、それが未だに内臓に残り続け1年経った今なお消化出来ずにいる」などと、1年前に受けた強烈な体験を振り返りつつコメント。
今年も最新主演作ともに出演作が目白押しの俳優の筒井真理子は「ロドリゴ・ソロゴイェン監督のまなざしは人間の深部を掘り、底知れぬ恐ろしさを浮かび上がらせる」などと、監督の手腕を称えるコメントを寄せた。
そのほか、黒沢あすか(俳優)、岩井志麻子(作家)、小島秀夫(ゲームクリエイター)、小川紗良(文筆家・映像作家・俳優)からもそれぞれの言葉で映画への衝撃が語られている。
映画『理想郷』は、11月3日より全国順次公開。
本作にに寄せられたオピニオンコメント全文は以下の通り。