アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート『ありふれた教室』日本版予告・場面写真公開 白石和彌、小島秀夫らの絶賛コメントも
■白石和彌(映画監督)
恐ろしい。目まぐるしく起こる出来事の連鎖に翻弄され、見ているこちらもすり減っていく。教育現場での地獄めぐりを体感させられ、絶対に教師にはなりたくないと誓いたくなる。しかし、本当に恐ろしいのはラスト数分、いや数秒で全てがひっくり返る瞬間だ。感じたことのない凄まじい余韻。今年の間違いなく必見の一作だ。
■小島秀夫(ゲームクリエイター)
こんなにも息苦しくなる映画はない。最後の最後まで、これでもかと胸や胃を締めつけられ、ラストでは絶望の淵に落とされる。些細な事から、ありふれた学校が憎しみの場所へ、制御の効かない無法地帯へと変貌する。この何処にでもある“教室の崩壊”の経緯を目撃してしまうと、「現実世界からもはや紛争や争いは未来永劫になくならないのでは?」と結論づけざるをえない。鑑賞後の後味の悪さは、“ありふれた映画”のものではない。ご注意を。
■森達也(映画監督/作家)
あまりにも凝縮された99分。最後まで目を離せない。音楽の使いかた、言葉の一つひとつ、教室と職員室を行き来するカメラワーク、子供たちのちょっとした仕草、映画を構成するすべての要素が、ありえないほどの完成度に達している。
■池田香代子(ドイツ文学翻訳家)
些細なミスの重なりが、収拾不能の事態を招く。いったいどうすればよかったのか。とほうに暮れて見回すと、あの教室と相似の社会が私たちを取り巻いている。こんなミステリーがあったのか!
■瀬々敬久(映画監督)
学校だけで民族差別や貧困格差と監視社会の危機を描き切っている。冷徹に見守りながら至るラストの衝撃。決して問題は解決してない。だが、少しだけ前へ進んだのだろうか。自分たち世界の向き合い方が示された気がした。