国家揺るがす元首相の誘拐事件の真相描く―映画『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』本予告解禁
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第75回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門に出品された、マルコ・ベロッキオ監督作『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』より、本予告編と本ビジュアルが解禁。併せて、映画評論家・秦早穗子氏と映画誌・比較文学研究家の四方田犬彦氏からの絶賛コメントが到着した。
【動画】「生きたいと願うことの何が狂っていますか?」映画『夜の外側』予告
本作は、巨匠マルコ・ベロッキオが、ヨーロッパ現代史上、類を見ない大事件「アルド・モーロ誘拐事件」を題材に、史実にフィクションを織り交ぜながら、壮大な人間模様を力強くも絢爛(けんらん)たる筆致で描き切った一大巨編。
1978年3月朝、元首相で、キリスト教民主党の党首のアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲われ、誘拐された。冷戦下で混迷を極め、テロリズムや暴動が蔓延(はびこ)り、“鉛の時代”と呼ばれていたイタリアで起きた国家を揺るがす大事件の裏側で、その時一体何が起こっていたのか。ベロッキオは、“羅生門方式”とも言える、事件に関わった人物たちそれぞれの6つの視点から再構築した。
主演のアルド・モーロ役は、『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』での好演が記憶に新しいファブリツィオ・ジフーニ。ベロッキオ監督が「彼は疑いの余地なく、アルド・モーロそのものだ」と語るジフーニは、第78回ナストロ・ダルジェント賞、第68回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演男優賞を受賞した。妻エレオノーラ役を演じたマルゲリータ・ブイも、第78回ナストロ・ダルジェント賞で最優秀主演女優賞を受賞。時の教皇パウロ6世を演じた名優トニ・セルヴィッロは、第68回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演男優賞にノミネートされた。ほかにもイタリア映画界を代表する俳優たちが脇を固める。
1978年3月のある朝、戦後30年間にわたってイタリアの政権を握ってきたキリスト教民主党の党首であり、5度の首相経験のあるアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃、誘拐されてしまう。世界が注目し、イタリア中が恐怖に包まれたその日から55日間にわたって展開した事件の真相を、アルド・モーロ自身、救出の陣頭指揮を執った内務大臣フランチェスコ・コッシーガ、モーロと旧知の仲である教皇パウロ6世、赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ、そして妻であるエレオノーラ・モーロの視点から描く。
本予告編には、本編でも使われているジャネットの楽曲「Porque te vas」にのせて、アルド・モーロが「赤い旅団」に誘拐され、家族や政府関係者、教皇が苦悩しながら何とか救おうとする姿や、赤い旅団のメンバーが勇ましく決起する姿などがリズミカルに映し出されていく。最後は赤い旅団に監禁され50日以上が経ったモーロが、神父に告解する場面で吐露する、「生きたいと願うことの何が狂っていますか?」という言葉が印象的に響いて幕を閉じる。
本ビジュアルは、手で顔を覆い隠すアルド・モーロを大きく配置し、その周囲を主要登場人物たちが囲んだ、赤を基調としたデザイン。モーロの写真の横には、予告編の最後で彼が放ったセリフが添えられている。
さらに今回、ヌーヴェルヴァーグ期の数多くのフランス映画を日本公開に導き、映画評論の世界でも第一線で活躍し続け、映画ファンから厚い信頼を寄せられている映画評論家・秦早穗子氏と、150冊に及ぶ著書を出版し、幅広い世代から支持を得る映画誌・比較文学研究家の四方田犬彦氏から、本作への絶賛コメントが到着。
秦氏は「1978年。ひとりの政治家の誘拐と殺人。ローマ教皇から、全ての政党と家族を巻き込む。いやイタリア中を揺るがす。政治における権力闘争と金。マフィアの暗躍、更に大きな力が介入したかも。夜の闇の内と外。マルコ・ベロッキオの情熱と理性が、我らの心に火をつける」、四方田氏は「これは悪と背信の叙事詩である。また愛と期待のメロドラマでもある。ベロッキオはつねに家庭と権力、夢と解放を描いてきた。要するに、イタリアのすべてを描いてきたといえる」と、それぞれ賛辞を贈っている。
また、日本での上映形態も決定。イタリア本国での劇場公開時の上映形態に則(のっと)り、前編(Ⅰ~Ⅲ)と後編(Ⅳ~Ⅵ)、各170分に分けて上映され、上映素材もイタリア劇場公開版となる。
なお、ポストカード6枚組付の特別鑑賞2回券(2800円/税込)が、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて6月14日夕刻より、メイジャー・ネット通販では6月21日より発売開始。
映画『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』は、8月9日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開。