主演・綾野剛×監督・荒井晴彦『星と月は天の穴』映画化決定 40代こじらせ男の哀愁漂うメインビジュアル公開

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脚本家の荒井晴彦が監督を務め、綾野剛が主演する映画『星と月は天の穴』が、12月19日より全国公開されることが決まった。併せて、メインビジュアルが解禁となった。
【写真】咲耶、田中麗奈、綾野剛が共演! 出演者カット
本作は、荒井が長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化した、R18の異色作。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながらつづっている。
小説家の矢添(綾野剛)は、妻に逃げられ結婚に失敗して以来、独身のまま40代を迎えていた。心に空いた穴を埋めるように、娼婦(しょうふ)の千枝子(田中麗奈)と時折り体を交え、捨てられた過去を引きずりながらやり過ごしていた。そして彼には恋愛に尻込みするもう一つの理由があった。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えているからだ。
そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を自問するように探求するのが日課だった。ところがある日、画廊で偶然出会った大学生の瀬川紀子(咲耶)と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井と『花腐し』(2023)でもタッグを組んだ綾野剛。これまでに見せたことのない枯れかけた男の色気を発露、過去のトラウマから、女を愛することを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ないキャラクターを生み出した。
そして、矢添を取り巻く女たち―女子大生の紀子を演じるのは咲耶。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れる。矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのは、荒井作品3作目の出演となる田中麗奈。綾野演じる矢添との駆け引きは絶妙、俳優としての新境地を切り開く。さらには、柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らが脇を固める。
撮影は2024年4月、東京近郊で行われた。
主演の綾野は「映画『花腐し』に続き、本作でも荒井監督の脚本を浴びる事ができ、主人公を通して言葉の美しさと滑稽さ、なにより文学への造詣に触れられ、とても稀有なひとときでした。とある小説を主人公が説明するシーン。噛めば噛むほど、呑めば呑むほど説明台詞を逸脱し、煙草を燻らせ酒を堪能する様に台詞を生み吐き出し、生きた言葉へと昇華する。脚本に導かれたその過程は、役者人生においても、唯一無二の体験でした。今思い出しても武者震いします」とコメント。
荒井監督は「18歳だった。彼女もいないし、女の子の手を握ったのは高校の文化祭のオクラホマミキサーの時だけだった。それもそっと。'66年の『群像』新年号、吉行淳之介の『星と月は天の穴』、『女の軀に軀を重ねても欲情は起ってこない』男は、連れ込み旅館の枕もとの棚の下の埃を見る。『数週間にわたって抜け落ちた数え切れない数の男と女の毛が、絡み合っていた』『突然、はげしい欲情が彼の中に衝き上ってきた』 これ、なんか分かると思った。妻に裏切られ、愛とか恋とかいう情感を持ち込むのを拒否し、女を『道具』として扱おうと思っている男が『道具』に敗けてゆく小説だった。映画の仕事をするようになって、いつか映画にしたいと思ってきた。やっとです」と語っている。
映画『星と月は天の穴』は、12月19日より全国公開。
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