綾野剛、荒井晴彦監督の通訳を担当? 映画『星と月は天の穴』の現場でも“懸け橋”に
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綾野剛が18日、自身が主演を務める映画『星と月は天の穴』の完成披露上映会に、共演者の咲耶と田中麗奈、そして荒井晴彦監督と共に出席。荒井監督の思いを代弁する場面があった。
【写真】大人の男の色気があふれる綾野剛
脚本家でもある荒井が監督を務めた本作は、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家・矢添克二の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながらつづっている。
その矢添を演じた綾野は、荒井監督と『花腐し』(2023)でもタッグを組んでいた。再び荒井監督の手掛けた作品に出演してみて「この作品は目で見るというより、耳で見る映画である。“読む映画”とも言えると感じています。監督の前で言うのもなんですが、珍味な作品だとも思います」と印象を。続けて「強いメッセージを込めたというよりは、言葉の美しさが感じられる。小説家という言葉を生業としている矢添から発せられる言葉は、どこかおかしく、そこを楽しんでほしいと思います」と見どころならぬ“聞きどころ”を語った。
そんな本作の原作に10代の頃に出会い、長年映像化を願っていた荒井監督。MCから「どんなところに惹かれたのですか?」と聞かれると、「ちょっと言いづらいです。言わなきゃダメ?」と何故か言い渋る。それに綾野が「僕が先に確認しましょうか?」と言って耳打ちで確認し、「確かに、荒井さんでもその思いを文体にするには難しいかもしれません(笑)」とフォローする場面が。
他にも、ヒロインの紀子役を務めた咲耶について、オーディションで見つけた際に「今までどこにいたの?」と発言したことに触れられると、荒井監督は「オーディションの最後に来たものだから」と本来の意図とは違うことを言って笑いを取ろうとする。それにも綾野が「シャイなのもほどほどにしてください! 今まで世に出ていなかったことについて“今までどこにいたの?”と言ったんですよね」と思いを代弁すると、荒井監督は「いつも通訳してくれる。現場でもそうだった(笑)」と綾野の存在が役者としても通訳としても頼もしかったと明かした。
さらに荒井監督からは、「僕があまり(指示を)言わないから、代わりにコーチしてくれた」「監督はあっち(綾野)ですから」という発言も。監督の言うことを綾野が助監督と一緒にかみ砕き、それをキャストに伝えるという役割を担っていたのだとか。そのかみ砕く作業の中で、田中演じる娼婦・千枝子がタバコを咥えながらペディキュアを塗るシーンは綾野の発案で生まれたという。そのシーンについて、綾野が「白黒作品なので、タバコの煙が何とも言えない“ゆらぎ”を表現し、感情が伝わるんじゃないかと思いました」とくみこんだ意図を語ると、観客から「お~」という感心の声が漏れていた。
映画『星と月は天の穴』は、12月19日より全国公開。

