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ベルリン映画祭、生誕100年を迎えた中村登監督作品が大反響

映画

左から中村好夫氏(中村登監督御子息)、通訳をはさんで、クリストフ・テルヘヒテ氏(ベルリン国際映画祭フォーラム部門ディレクター)
左から中村好夫氏(中村登監督御子息)、通訳をはさんで、クリストフ・テルヘヒテ氏(ベルリン国際映画祭フォーラム部門ディレクター)

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 開幕中のベルリン国際映画祭フォーラム部門にて、昨年生誕100年を迎えた中村登監督の特集上映が大きな反響を呼んでいる。

【関連】中村登監督特集上映の様子<写真>

 上映されているのは『我が家は楽し』(1951年)、『土砂降り』(1957年)、『夜の片鱗』 (1964年)の3本。これらは昨秋に東京フィルメックスと松竹が共催した特集が海外に展開されたもの。その際に東京都などの協力により35mmニュープリントが作成され、ここベルリンの地でも上映された。

 これまでも『古都』と『智恵子抄』がアカデミー外国語映画賞にノミネートされたことはあったが、複数の作品をまとめて中村作品に焦点を当てた海外での本格的な特集は初めて。上映前には監督の御子息の中村好夫氏が登壇し、大勢の観客の前で挨拶した。ベルリン映画祭の同部門では過去にも島津保次郎監督(2010年)、木下惠介監督(2013年)が特集されていることから、中村監督が島津監督のもとで木下監督とともに助監督を務めていたエピソードなど、3人が“直系”を成す監督であったことを紹介。その作家性を「“松竹大船調”との印象が強かったが、ホームドラマ、文芸作品、喜劇、時代劇、社会派ドラマと会社が求める企画に対応できた『器用な』監督だった。その上で、伝統の中にも常に『NEW』を求める姿勢が、67歳で没するまで現役の映画監督で居られた要因なのでは」と、もっとも身近な場所から観察した父親の製作における姿勢を分析した。

 3本のうち最初に上映された7日の『我が家は楽し』は小気味のよいテンポと、もはやベルリンの観客にもなじみとなった笠智衆のとぼけた風情が観客の笑いを誘い、翌8日の『土砂降り』と9日の『夜の片鱗』は、夜10時半からの上映にも関わらず満席の大盛況となった。観客席の中には日本通の海外プレスの姿も見え、60年代から70年代にかけて20年近くを東京で過ごし、生前の中村登監督にもインタビューをしたことがあるというフランスの映画批評家のAlex Deleon氏は「『集金旅行』のような喜劇、『古都』のような文芸ものも大好きだが、こんな転落劇は初めて観た。新鮮な驚きだ」と興奮気味に語った。また、10日付の地元紙ターゲスピーゲル紙では「生は暗く、死もまた暗い:心を描く名匠」と、マーラーの交響楽「大地の歌」の歌詞から引用した見出しで絶賛している。

 ベルリン映画祭では次の週末(14日~16日)にかけて再上映が行なわれる他、映画祭が閉幕したあとにも映画館「Arsenal」で引き続き上映される。また、3月にはロンドン、4月には香港国際映画祭で『夜の片鱗』が上映されることが既に決定している。今回のベルリンでの大きな反響を受けて、中村登の名前が世界により広く知られていくことになるだろう。『夜の片鱗』は日本国内でも6月7日に初のDVDが発売される。(文:岡崎 匡)

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