『トラック野郎』追悼野外上映が開催 「一番星ブルース」合唱で鈴木則文監督を偲ぶ

今年5月15日に亡くなった、娯楽映画の巨匠・鈴木則文監督を偲び、生前監督が参加するなど交流のあったカナザワ映画祭が、9月6日に『トラック野郎 度胸一番星』の追悼野外上映とデコトラ展示を開催した。
【関連】『トラック野郎 度胸一番星』追悼野外上映&デコトラ展示 フォトギャラリー
当日は劇中に登場する一番星号とやもめのジョナサン号も会場に駆けつけ、「映画とは打ち上げ花火である」という監督の信念を体現するかのごとく、会場一体となっての映画愛が花火のように打ち上がった。
野外上映とデコトラ展示は、金沢市内の旧県庁をリニューアルした格調高い「しいのき迎賓館」石の広場で開催された。まず金沢城の石垣を望む広場で、午後からデコトラの展示がスタート。会場では『トラック野郎』関連グッズはもちろん、特製カレーや生ビールの販売も行われ、“観るお祭り”というべき本作にふさわしく、お祭り感いっぱいのイベントとなる。眼前に現れた一番星号とジョナサン号に老若男女(特に男性オールドファン)は興奮を隠せず、記念撮影に勤しむ姿が多数見られた。
夕方からは鈴木監督作品の劇伴DJプレイに続き、『トラック野郎』シリーズの脚本と助監督を務めた澤井信一郎監督、デコトラ団体「全国哥麿会」の田島順市会長、「トラック野郎 浪漫アルバム」の著者である杉作J太郎が参加してのトークイベントを実施。
J太郎は「一番星号が実際に現れた時の感動といったらない」と会場の声を代弁し、田島会長は「監督が作った一番星号の姿を全国の皆さんに見てもらえれば」「トラック業界ではこれは国宝だと思っている」と男気発言を連発、澤井監督は実際にトラック野郎の仕事に同行してシリーズの構想を練った秘話を明かし、会場を大いに沸かせた。
その後はあいにく雨がちらつく中での作品上映となったが、鈴木監督の名前が映し出されると拍手が起こり、金沢の場面になると同様に拍手が沸き起こる。
監督を送るかの涙雨は不思議と作品のラストに合わせて降り止み、続いて監督作品のダイジェスト集上映、全員での「一番星ブルース」合唱、そして最後に「ありがとう! 鈴木!」と唱和して、祭りの幕は下ろされた。会場では涙を拭う人の姿も見られ、その思いと映画への愛が、きっと天国の鈴木監督にも届いたことだろう。(取材・文・写真:しべ超二)