“ゾンビ・パンデミック”元感染者が社会復帰した世界の新たな恐怖…『CURED キュアード』予告編

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公開日：2020/3/2 15:00

“ゾンビ・パンデミック”元感染者が社会復帰した世界の新たな恐怖…『CURED キュアード』予告編の

【写真】映画『CURED キュアード』場面写真

　本作は、アイルランドの新人監督デイヴィッド・フレインが、ゾンビをテーマに創作した異色の近未来スリラー映画。無差別に他者を噛み殺すモンスターに豹変する新ウイルスのパンデミック終焉後、元感染者たちが社会復帰した世界で発生する新たな混乱と恐怖を描き出す。主人公のアビーを演じるのは『JUNO／ジュノ』『インセプション』のエレン・ペイジ。

　人間を凶暴化させる新種の病原体、メイズ・ウイルスのパンデミックによって大混乱に陥ったアイルランド。6年後、治療法が発見され秩序は取り戻されるが、治療効果が見られない25％の感染者は隔離施設に監禁され、治癒した75％は“回復者”として社会復帰することになる。

　回復者のひとりである若者セナン（サム・キーリー）は、シングルマザーの義姉アビー（エレン）のもとに身を寄せるが、回復者を恐れる市民の抗議デモは激しさを増すばかり。やがて理不尽な差別に不満を募らせ、過激化した回復者のグループは社会への復讐テロを計画する。その怒りと憎しみの連鎖はセナンやアビー親子を巻き込み、新たな恐怖のパンデミックを招き寄せるのだった…。

　予告編は、感染しゾンビ化していた頃のセナン（サム）が登場するショッキングな場面からスタート。やがてセナンは回復者となり、同じ境遇の仲間と共に社会復帰を果たすが、「奴らはもう人間じゃない」「悪夢は見るか？人を噛み殺してたんだ。当然だな」などと蔑まれる。そんな状況に回復者のグループが「回復者に権利を与えろ！」とデモを行う風景や、セナンが「このクズ！」と殴られる姿、アビー（エレン）が「人殺しを引き取るなんて」と責められる姿など、回復者たちと社会の対立が激化していく模様が映し出されていく。最後はアビーのアップ映像に「記憶だけは治らない。」というキーフレーズが重なり締めくくられている。

　ゾンビ映画でありながら、元感染者への差別など不寛容な社会を描き出す本作は、新型コロナウイルスの感染が拡大を続ける現在の社会にも通じるところがある。「ゾンビものに病的なくらい魅せられていた。現代の社会問題を見事に反映することのできるジャンルだからだ」と語るフレイン監督は、『CURED キュアード』について「恐怖についての話だ。感染した者の恐怖や感染する恐怖だけではない。自分の中にある恐怖、すなわちそれは恐怖に苛まれる中での自分たちの無力さによる恐怖なのだ」と説明している。

　映画『CURED キュアード』は3月20日より全国順次公開。