オスカーノミネート、ワンカット短編の“その先”描く『おもかげ』公開決定＆予告解禁

映画

公開日：2020/6/16 13:00

オスカーノミネート、ワンカット短編の“その先”描く『おもかげ』公開決定＆予告解禁の

　スペイン・フランス合作映画『MADRE（原題）』が、邦題を『おもかげ』として10月に全国公開されることが決定。併せて、ビジュアル画像と日本版予告編が解禁された。

【写真】海辺にたたずみ…映画『おもかげ』場面写真

　幼い息子を失ったひとりの女性の希望と再生の旅路を描いていく本作は、スペインの新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン監督が2017年に製作した15分の短編映画『Madre』が出発点。同作は2019年の第91回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされたほか、世界各国の映画祭で50以上もの賞を受賞した。短編に続いて本作のメガホンをとったソロゴイェン監督は、緊迫感あふれるワンシーンのその短編を映画のオープニングシーンとして採用し、息子を失った女性エレナの〈その先〉の物語を描いていく。

　本作は、2019年のヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に選出され、主人公エレナを演じたマルタ・ニエトが主演女優賞を受賞し、スペインで4つもの主演女優賞を獲得。エレナの息子の面影をまとう少年ジャンは、本作が長編映画3作目となる新鋭ジュール・ポリエが演じる。

　予告編は、短編『Madre』の一部分から始まる。エレナの元夫と旅行中の6歳の息子イバンからのあどけない電話のはずが、その会話から海辺にたったひとり残された息子の状況が明かされていく。

　10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていたが、その場所で失踪事件のことを知らない者はいなかった。ある日、エレナは息子に似たジャンという少年と出会う。エレナの心の支えとなっていた恋人は彼女に「彼はイバンに似てる。だが君の息子じゃない」と忠告し、彼女は誰よりもそのことを分かっていた。しかし、その出会いをきっかけに、恋人やジャンを慕う少女、ジャンの家族など周囲の人物に混乱と戸惑いの波紋が広がっていく様子が描かれていく。大西洋に面する美しい海辺とその波音を寡黙かつ雄弁に切り取り、登場人物の心情を繊細かつ大胆に見せていく映像が印象的だ。

　公開されたビジュアルは、その海辺にたたずむ、りんとした表情で前を向くエレナと、それを真っすぐに見つめるジャンの姿を捉えている。

　映画『おもかげ』は10月全国公開。