オスカー女優フランシス・マクドーマンド、ノマドになりきるため実際に労働

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女優フランシス・マクドーマンドが主演する映画『ノマドランド』より、彼女が本物のノマドたちの中に完璧に溶け込んでいる様子を捉えた本編映像が解禁された。
【動画】本物のノマドに完璧に溶け込むフランシス・マクドーマンド 『ノマドランド』本編映像
リーマンショックの影響で家を失い、車上生活で季節労働の仕事を渡り歩くことになった60代の女性の生き様を描く本作。『スリー・ビルボード』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したマクドーマンドが主人公ファーンを演じる。先日発表された本年度アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、撮影賞の主要6部門にノミネートされた。
今回解禁されたのは、マクドーマンド演じる主人公ファーンが、ノマドの友人リンダに誘われて、ノマドたちが集まってコミュニケーションを交わすイベント”RTR(Rubber Tramp Rendezvous)”に参加するシーンの一部。最初は不安な表情を浮かべているファーンだが、リンダやイベントで出会った新たな友人スワンキーともに交流していく中で、次第に笑顔を見せていく。
米各地からノマドたちが集まるイベントということもあり、本シーンには大勢のノマドたちが登場するが、プロの俳優は主人公のファーンを演じたマクドーマンドと、デイヴを演じたデヴィッド・ストラザーンのみ。ファーンと仲良く会話するリンダや、一緒に炊き出しに並ぶギプスをつけたスワンキー、さらにはイベントの主催としてトークをするボブ・ウェルズを含む他の登場人物は全員が一般のノマドたちだ。集団で見ると一見どこにマクドーマンドがいるのかも分からない。完璧な役作りでノマドに溶け込むマクドーマンに驚きを隠せない本編映像となっている。
ノマドの生き様をリアルに体現するための役作りのひとつとして、マクドーマンドは自らノマドの労働に身を投じたという。「アマゾン社の発送センターで、アカカブの収穫工場で、観光客向けのカフェで、国立公園のキャンプ指導員として、ファーンであるわたしも、実際に働くひとたちに混じりながら、働きました。ほとんどの場合、一介の従業員としか思われていませんでした」とマクドーマンドは明かす。さらに「高齢者が働くことの肉体的な限界と苦痛、と同時に、働くこと、キャンプ指導員として自然のなかで暮らすこと、生きる目的をもつこと、そして、こうした仕事から収入を得られることの喜びを演じようとしました」と、役作りに込めた自身の思いを語っている。
クロエ・ジャオ監督は「マクドーマンドはいつまでも役柄について悩み続けるような女優ではありません。からだで理解していくタイプなのです。実際に手に触れて納得していくのです」と分析。マクドーマンドがノマドとしてリアルに息づいている様子を目の当たりにした海外評論家からも「マクドーマンドの顔はまるで“動く国立公園”のようだ」との評価が上がっている。
映画『ノマドランド』は3月26日より全国公開。