大好きなパパが女性になった 『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』12.24公開
第38回デンマーク・アカデミー賞でメイクアップ賞と児童青少年映画賞を受賞した映画『A Perfectly Normal Family(英題)』が、邦題を『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』として12月24日より公開されることが決定。日本版ポスタービジュアルが解禁された。
【写真】ミゲル・ボー・フルスゴー出演『ヒトラーの忘れもの』場面写真
本作は、「世界一幸福な国」として知られるデンマークから届いた爽やかな感動作。女優として活動したのち、数多くの短編映画を発表してきたマルー・ライマン監督の初長編作だ。11歳の時に父親が女性になった経験を持つライマン監督の自伝的な作品で、自らの実体験に基づくエピソードをちりばめながら主人公の少女エマの複雑な感情を繊細かつリアルに表現する。
1990年代末。デンマークの郊外で暮らすエマは突然、両親から離婚を告げられる。しかも離婚の理由は「パパが女性として生きていきたい」だった…。パパのトマスが、やがて性別適合手術を受けるという現実を受け入れられない。「大嫌い。パパなんか死んじゃえ!」。そう叫びながらも、本当はパパのことが大好きなエマが、幾多の葛藤の果てに気づいた自分の気持ちとは。
女性に変わったパパは、“今までのパパ”とは少し違うかもしれないけど、愛する気持ちは変わらない。その大切な思いを確かめていくエマの成長を紡ぎ、清々しい余韻をもたらす本作。トランスジェンダーをカミングアウトする当事者ではなく、その娘である少女の視点で全編が語られる点が新鮮にしてユニークだ。
エマ役を演じたカヤ・トフト・ローホルトは本作で映画デビュー。撮影当時はまだ10歳だったが、11歳という多感な時期に葛藤する少女を見事に体現している。パパのトマス/アウネーテ役に扮したのは、『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』(2012)や『ヒトラーの忘れもの』(2015)などで知られる実力派俳優ミゲル・ボー・フルスゴー。
ライマン監督は、トマス/アウネーテの役は「男性でもあり女性でもあることを示したかった」と言い、男性の身体から自身の女性性を見出すことができるような身体性を持った人を探すことが重要だったため、当初からトランスジェンダーの役者の起用は考えなかったと語っている。
日本版ポスタービジュアルは、淡いグリーンを背景に、主人公エマ一家の写真が収められたもの。椅子に座るエマの隣でほほえむのは、名前をトマスからアウネーテへと変えたパパ。その後ろにはママが立っている。
映画『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は12月24日より全国順次公開。