【連載】ハリウッド最前線「第3回」 4.15はエマ・ワトソンの誕生日! 34歳の“現在”
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米ロサンゼルスを拠点に様々なメディアで活動している映画ジャーナリスト・猿渡由紀さんの連載がクランクイン!でスタート。第3回は、4月15日に34歳の誕生日を迎える「エマ・ワトソン」にフォーカスしたコラムをお届けします。
■ 女優だけでなくファッション業界でも活躍
4月15日は、エマ・ワトソンの誕生日。『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開された時11歳だったワトソンも、もう34歳だ。
『ハリー・ポッター』のハーマイオニー役でデビューして以来、全世界のファンに愛されてきたワトソンは、2019年のグレタ・ガーウィグ監督作『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』を最後にスクリーンから遠ざかっている。2022年1月には、HBO Max(当時の名称。現在はMax)が配信した『ハリー・ポッター』の20周年記念番組『リターン・トゥ・ボグワーツ』に出演してくれたが、新たな映画に出演する話は今もないままだ。
とは言え、女優を辞めたわけではない。2023年の「フィナンシャル・タイムズ」紙のインタビューでは、演技の仕事にあまり満足していなかったと認めながらも、「正しいものが来るのを焦らずに待っているのよ。もうロボットみたいなモードにスイッチするのは嫌なの」と、次々と作品に出ては違う役になりきる日々を求めていないことを明かしている。
昨年末の英国版「ヴォーグ」のインタビューでも、「そうした(演技から離れた)のは良かった。今、前にはなかった形で、自分の声、自分のクリエイティブなスペースを持てるようになったと感じている。自分でコントロールできるようになったと」と述べた。
(C)AFLO
それに、映画に出ていないだけで、仕事はしているのだ。ファッションにも倫理観を追求し、メット・ガラ(毎年春にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されるファッションの大イベント)にリサイクル素材で作られたカルヴァン・クラインのドレスで出席したり、出演作のプレスツアーで倫理あるブランドの服だけを選んだりしてきたワトソンは、この分野で今も活躍しているのである。
2020年には、グッチ、イヴ・サンローランなどの高級ブランドを抱えるケリングのサステナビリティ委員会の役員に就任。今年初めには、リサイクル素材を使うプラダの「Re‐Nylon」コレクションの広告塔になった。若い人たちに対して抜群の影響力を持つ上、ファッションのセンスで知られるワトソンに協力してもらうことは、これらのブランドがこれから先の時代を生き延びていく上で、大きな助けになるに違いない。
(左から)ルパート・グリント、ダニエル・ラトクリフ、エマ・ワトソン (C)AFLO
ワトソンは1990年、パリ生まれ。両親はイギリス人。5歳の時に両親が離婚し、母と共にオックスフォードに移住した。幼い頃から女優にあこがれ、6歳で劇団の歌、ダンス、お芝居のレッスンを受け始める。その劇団が主催するお芝居にはいくつか出演したものの、『ハリー・ポッター』のオーディションに受かるまで、プロとして演技の仕事をしたことはなかった。『ホーム・アローン』も監督したクリス・コロンバスは、ワトソン、ダニエル・ラトクリフ、ルパート・グリントらを選ぶ上で、演技の才能だけでなく、両親がどんな人たちかも重視したと語っている。
事実、ワトソンは、マコーレー・カルキン(『ホーム・アローン』など)のように親によって金づるにされたり、リンジー・ローハン(『フォーチュン・クッキー』など)のように夜遊びに夢中になったりすることはなかった。それどころか、十分な富と名声を得ても学業への意欲を持ち続け、2009年秋にはアメリカの名門ブラウン大学に入学している。在学中も映画に出演したため、卒業できたのは2014年5月。その後も学ぶことへの情熱はおさまらず、昨年にはオックスフォード大学でクリエイティブ・ライティングの修士号のコースを始めたらしい。実に立派だ。
才色兼備なのだから当然かもしれないが、プライベートライフもかなり多忙な様子。過去に噂になった男性には、実業家フランシス・ブール、投資家ジェイ・バリモア、オックスフォード大学の学生でラグビー選手のマシュー・ジャネイ、シリコンバレーのビジネスマン、ウィリアム・“マック”・ナイト、俳優コード・オーバーストリートなど多数いる。最近のお相手は、イギリスのファッションブランド「トップショップ」の親会社アルカディアの元CEOフィリップ・グリーンの息子、ブランドン・グリーン。2021年9月には一緒にヘリコプターで旅しているところが、そのおよそ1年後にはベネツィアで手を握り合っているところが目撃された。
それからさらに1年半以上が経つが、ふたりの関係の現在は不明だ。プライベートについて語らないことで知られてきたワトソンなので、不思議ではない。彼女の口から何か報告があるとすれば、ついに人生で特別なことが起きる時ではないか。その日がいつか、いや、その日は来るのか。どちらにしても、ファンが彼女の幸せを願い続けることに変わりはない。
猿渡由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)プロフィール
神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「週刊SPA!」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイ、ニューズウィーク日本版などのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。
文:猿渡由紀
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