大貫勇輔×柚希礼音×KELOが“PASSION”を実感する瞬間「何物にも代えがたい」
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――みなさんが「PASSION=情熱」を実感する瞬間についてお聞きしたいです。創作活動においても、日常の中でのことでも。
大貫:僕はやっぱり仕事ですね。自分の軸にあるのはダンスですが、ここしばらくは俳優活動が多くなってきました。俳優として役に向き合っている時間って、何物にも代えがたいんですよね。人生で出会うすべての出来事を役に生かすことができるし、こんなに面白い仕事はありません。やればやるほど、そう思います。そして今回の台本を読んでいて、ふとあることに思い至りました。
――それは何でしょう?
大貫:プロフェッショナルとは何なのか、ということです。自分にとって情熱を向けられるものは何なのか。それを追求していくと、プロになる人がいますが、なれない人もいます。でもじゃあプロって、どこからプロだと言えるんでしょうね。それが仕事になって、お金をもらえたら、プロだと言えるのか。いや、そうじゃない。
――別の基準があると。
大貫:やっぱり、覚悟と責任だと思うんです。北斎は絵を描くことにおいて、誰よりもその情熱と覚悟と責任があった人間なんですよね。そしてそれは、実は決して特別なものではない。
――どういうことでしょう?
大貫:人は誰しも、必ず何かのプロフェッショナルだと思うんですよ。そう思いませんか?
――ええ、確かに。何かしらのプロですね。
大貫:その観点から言えばこの作品は、すべての人に通ずるであろうテーマを持っています。何かに向き合う中で、壁にぶち当たることは必ずやある。そこでやめてしまうのか、それとも突き進むのか。人生って、この葛藤と選択の連続じゃないですか。そこでどんな決断をしても、きっと間違いじゃない。ただ北斎の場合は、いつまでもどこまでも突き進んだ。そこが彼の偉大さです。そして僕自身、彼のように生きていきたいと強く思っています。今まさに自分の中に「PASSION」があるのを感じていますし、この情熱を持ち続けたまま、稽古にも本番にも臨みたいですね。
柚希:私も同じで、やっぱり仕事ですね。舞台上に立っていると、ときに予期せぬほど、自分の中のものがあふれ出る瞬間があるんですよ。あのとき、舞台に立っているようで、どこか違うところに立っているのを感じます。でもそういう瞬間って、頻繁に訪れるわけではありません。私はあの瞬間を求めて、ずっと舞台に立ち続けているのかもしれません。
――プロとして葛藤しながら。
柚希:そうですね。北斎は自分の好きなことにとことん向き合い続けました。今の社会では大人になると、いろいろと我慢をしなくちゃならないことが増えてきますよね。限界を感じてしまったり、周囲の目を気にしてしまったり。でも、自分の素直な気持ちを何よりも大事にすべきだと私は考えているし、みなさんにも大切にしてほしい。だからこの作品を通して、そのことをお伝えできたらと思いますね。
――KELOさんが「PASSION」を実感するのは、やはり踊っている瞬間ですか?
KELO:そうですね。僕が情熱を注いできたのは、やっぱりダンスです。自分の踊りを見た誰かの気分が明るくなったり、元気が出たりすることがあるのなら、この表現は情熱を懸けるに足る。そう思っているし、これからもそう信じています。
(左から)KELO、大貫勇輔、柚希礼音
――最後に、みなさんは本作をどのような方々に観てほしいと思っていますか?
大貫:きっとこれは、この世に存在する舞台芸術作品の中で、少数派のものになるに違いない。横浜の赤レンガ倉庫は特別な空間で、この劇場だからこそ立ち上げることのできる作品になるはずだと思います。ちえさんが言ってたように、赤レンガ倉庫って本当に演者と観客の距離が近いですからね。
柚希:ね。演者の呼吸が感じられる空間だし、汗が飛んでくるんじゃないかっていうほど。
大貫:劇場にいる誰もが、作品の一部になっていると感じられる空間ですよね。密な空間で、きっと没入型の新鮮な体験ができるはずです。
柚希:それも、KELOさんという世界的なダンサーのパフォーマンスに触れることができる、特別な機会です。ダンス好きな方はもちろんのこと、私がこれまで関わってきたようなミュージカルが好きな方々、そして芸術に関心のあるみなさまに、ぜひいらしていただきたいですね。
KELO:子どもから大人まで、ダンスをしている人も、ダンスを知らない人も、あらゆる人々に開かれた作品になるんじゃないかと思います。ぜひ来ていただけたら。お待ちしています。
(取材・文:折田侑駿 写真:中田智章)
ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ‐ 北斎の描く夢 ‐』は、10月22日~11月3日まで横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールにて上演。
【公演概要】
ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
主催・企画制作:ホリプロ
※大阪公演あり
<スタッフ>
脚本:藤井清美
音楽:森 大輔
振付・演出:KAORIalive
共同演出:元吉庸泰
<キャスト>
大貫勇輔 柚希礼音 KELO
<チケット料金>
全席指定:1万1500円