クランクイン!

吉祥寺シアター・小西力矢、劇場職員と劇団主宰の2つの視点から見る可能性「人生を託せる場所が必要だと感じた」

演劇

■言葉を輝かせる音楽の追求、キャスティングへの思い

――『星の王子さま』は詩的な言葉も魅力の一つだと思うのですが、台本の執筆や稽古場での演出で小西さんが大切にしていることはどんなことなのでしょうか?

小西:サン=テグジュペリの残した言葉そのものがとてもすばらしいと思うので、最大限の敬意を払いながら、言葉の輝きが伝わる作品にしたいと思っています。同時に、自分がやりたいこと、そして、自分だからできることとしては、やはり音楽にどう言葉を乗せていくか、というところだと思うので、執筆も演出もそこにこだわって進めています。「この言葉を1番響かせるにはどういう音楽がいいだろう」とか、「この音楽にどんな風に言葉を乗せたらいいんだろう」とか…。稽古場でも言葉と音楽の親和性みたいなものを重視して立ち上げるようにしています。

――取材にあたって、楽曲を視聴しながら台本を拝読させていただいたのですが、まだ見ぬ劇世界への想像力がかき立てられ、ますます上演が楽しみになりました。小西さんは先月ユーロライブで上演されたゆうめいの音楽劇『あわせて』でも印象深い楽曲を手がけられていましたが、創作の工程として、音楽はどのタイミングで作られているのでしょう?

小西:ゆうめいの『あわせて』も今回の『星の王子さま』も元となるテキストがあって、このシーンに曲を入れたい、みたいな流れは予め決まっていました。ただ、実際に作曲する時は作品の内容や流れはそこまで考えていないんですよ。どちらかというと、先に1枚のアルバムを作るような感覚というか、『あわせて』に寄せるアルバム、『星の王子さま』に寄せるアルバムみたいな感じで…。なので、脚本とは別に、まずは音楽単体でも作品として完成されていることが大事だと思っています。「このシーンはこういう内容だからこういう音楽の表現が合う」ということではなく、「この作品でこういう音楽を流したい」ということが先にあって、そこから、それにどう言葉を乗せていくかを考える、という順番ですね。


――小西さんは、しあわせ学級崩壊でもダンスミュージックを中心とした楽曲と演奏を取り入れた劇作でいち早く音楽と演劇を横断した創作活動をされていましたが、作曲はいつ頃からやられていたのでしょう?

小西:音楽を作り始めたのは大人になってからで、しあわせ学級崩壊の旗揚げがきっかけでした。MIDIキーボードを作曲のツールとして使ってはいるんですけど、いわゆる音大で作曲を学んできた人のようには作れないので…。ループ主体の音楽性に特化して、演劇作品の中で独特のグルーヴ感を生んだり、だんだんトランスさせていくような作曲の方法でやってきたので、作曲活動においてはそうした持ち味が活かせる自分の得意なところで勝負ができたらと思っています。

――稽古でも、星々を巡るという連続性と生命という一回性が、グルーヴ感のある音楽によってともに躍動感を以て迫ってくるような感覚になりました。俳優さんの存在感がまたすごく魅力的で…。

小西:劇場職員としても「自分の経験を活かした仕事をしたい」という思いは常にあって、今回のキャスティングにもそういう気持ちが反映されています。しあわせ学級崩壊として活動していた頃に近しいところにいた俳優さんや、若手劇団の観劇を通じて知った俳優さん。そうした方の魅力や面白さを熟知していることが僕の強みなので、公共劇場という場で新たな創作や表現に共に取り組めたらと思っています。やっぱり自分は耳で演劇を作っているので、俳優さんの声はすごく大事だと思っているんですけど、今回の8名のキャストの方々はなんていうのでしょうか、聴いているだけで幸せになるような、力強く、それでいて心地の良い声をした方ばかりなんですよ。なので、声と音楽の融合も是非楽しみにしていただけたらと思います。

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■劇場職員と劇団主宰 2つの視点から見る可能性と展望

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【公演概要】

吉祥寺ファミリーシアター2026『星の王子さま』

■日程・会場
8月14日~16日 東京・吉祥寺シアター

■原作:サン=テグジュペリ

■脚本・演出・音楽:小西力矢(吉祥寺シアター)

■出演:
加藤睦望(やみ・あがりシアター)、金本大樹、徐永行(ザジ・ズー/サンバーチャイチャイ/さるさるさる松井絵里)、田久保柚香、新部聖子(少年王者舘)、端栞里(南極)、宝保里実、村山新

<公式サイト>https://arte-friends.com/event/kichi-family2026/
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