クランクイン!

音無美紀子、榊原郁恵ら実力派キャストがたくましくチャーミングな女たちを体現!/ONEOR8『台所の女たちへ』稽古場レポート

演劇

ONEOR8『台所の女たちへ』舞台稽古の様子
ONEOR8『台所の女たちへ』舞台稽古の様子 写真:塚田史香

関連 :

山口森広

冨田直美

音無美紀子

榊原郁恵

田村孝裕

駒塚由衣

大草理乙子

かんのひとみ

幸田尚子

高野ゆらこ

工藤さや

里内伽奈

米田マナ海

 現在、東京・ザ・スズナリにて公演中のONEOR8公演『台所の女たちへ』。作・演出の田村孝裕が2014年に劇団青年座へ書き下ろした戯曲を2チームのキャストに分かれて演じており、10月4日までは恩田隆一率いる"恩田組"で上演されていた。10月5日からは、山口森広、冨田直美、音無美紀子、駒塚由衣、大草理乙子、かんのひとみ、幸田尚子、高野ゆらこ、工藤さや、里内伽奈、米田マナ海、榊原郁恵が出演する“山口組”の公演が開幕。その数日前、山口組が小屋入りしてから初めて行われた、衣装を身に着けての通し稽古を特別に見学したので、その模様をレポートする。

【写真】葬儀を舞台にしながらもカラッと笑える会話劇 ONEOR8『台所の女たちへ』“山口組”の舞台稽古の様子

◆それぞれのキャストが持つ魅力や人となりが役柄に活きる

 本作は、葬儀の日の台所を舞台に、入れ代わり立ち代わり現れる女たちが賑やかな会話を繰り広げていく物語。軍需産業で財を成した二村家三代目・儀之介の通夜は明るく、笑い声が絶えず響いている。やがて、台所で語られる女たちの話題は、かつて二代目の葬儀で起こったとある事件におよぶ――。

 かくも女たちは逞しく、いつの世もかしましい。惚れた腫れたの恋の話に近況がてらの噂話、夫や子どもなど家族の話――作中で描かれる60年という時代の流れの中でも、人が気になることや求めることはそう変わらないのだろう。台所を守る女たちの会話は、他愛もない雑談のようで、ふいに本質を突き、ふわりと愛が漂う。

 舞台上には、昭和の面影を残す台所のセット。手前にはダイニングテーブルと6脚の椅子が置かれており、古めかしくも豊かな家庭だったことがうかがえる造りだ。通し稽古を前に、山口と音無の2人はぎりぎりまで台詞合わせに余念がない。大声で声出しをするキャストの傍らで、小道具や照明を再確認するスタッフの姿もあり、劇場という空間ならではの緊張感が漂っていた。ただ、大きすぎる声出しに反応して笑い声も上がり、キャストたちの和やかな関係性が垣間見えた。

 二村家は長男・儀之介、長女・玉枝、次女・恵美子、三女・小百合の一男三女。玉枝は長女らしくしっかり者、恵美子はちょっとおとぼけで、小百合は少々したたかな印象だ。それぞれにひとり娘がおり、さらには女中、弔問客とその娘と登場人物は多いものの、誰もが“濃い”個性の持ち主で、見ていてもすんなりと頭に入ってきた。

 音無が演じる美代は、かつて二村家の女中だった。戦争で両親を亡くして女中となり、奉公した二村家で儀之介に見初められて妻となった。椅子の位置が乱れるとさっと直し、手際よくテーブルを拭く姿からは、どれだけ丁寧に家へ尽くしてきたかがよくわかる。穏やかな口調はとても人当たりが良く、しなやかな佇まいには、この家に寄り添い続けた年月がにじみ出ていた。時折のぞくかわいらしさは、音無自身の魅力が役に溶け込んでいるからだろう。その人柄が、賑やかな台所にやわらかな温度をもたらしていた。

 娘とともに現れた弔問客の京子を演じるのは榊原。夜の街での源氏名はマーガレットで、昔で言う儀之介の“2号さん”だった人物だ。テレビなどで見る榊原のイメージとは離れた役どころだが、意外なほどにはまっていた。夜の街を生き抜いてきた女性の豪胆さがありながら、どこかチャーミングにも映る。相反する二面を軽やかに両立させるのは、榊原ならではの魅力だろう。

 唯一の男性キャストとなる山口が演じる儀之介は、女ばかりに囲まれて終始たじたじ。不器用で、こだわりが強くて、少し見栄っ張り。「男なんて…」と、台所の女たちが噂をするような、ちょっぴり頼りない人物像に思えた。ただ、とても優しい。それも優しいだけではなく、強い信念も伴っていて、だからこそ美代は尽くせたのだろうと納得できた。儀之介と美代の小気味良い会話からは確かな絆が感じられ、そんな“優しすぎる”儀之介を、山口は愛嬌たっぷりに演じていた。

次ページ

◆同じ台本でもそれぞれのチームでキャラクターの手触りが違う面白さ

1ページ(全2ページ中)

【公演概要】

舞台『台所の女たちへ』
舞台『台所の女たちへ』メインビジュアル

舞台『台所の女たちへ』

【作・演出】田村孝裕

【出演】
<恩田組> 
恩田隆一、和田ひろこ   
田中真弓、井上加奈子、西山水木、福島マリコ、上田桃子、福圓美里、内山ちひろ、高畑こと美、中野渡亜未、高乃麗
<山口組>
山口森広、冨田直美
音無美紀子、駒塚由衣、大草理乙子、かんのひとみ、幸田尚子、高野ゆらこ、工藤さや、里内伽奈、米田マナ海、榊原郁恵(「榊」は「木へんに神」が正式表記)

【会場】ザ・スズナリ

【日時】2026年9月26日~10月12日

<恩田組>
9/26(土) 18:00
9/27(日) 13:00
9/28(月) 14:00/19:00
9/29(火) 休演日
9/30(水) 14:00/19:00
10/1(木) 19:00
10/2(金) 19:00
10/3(土) 13:00/18:00
10/4(日) 13:00

<山口組>

10/5(月) 19:00
10/6(火) 19:00
10/7(水) 14:00/19:00
10/8(木) 休演日
10/9(金) 14:00/19:00
10/10(土) 13:00/18:00
10/11(日) 13:00/18:00
10/12(月) 13:00

【劇団サイト】 https://wp.oneor8.net/
チケット情報はこちら

この記事の写真を見る

関連情報

山口森広 の関連記事 ›

最新ニュース

おすすめチケット

powered by ローチケ

おすすめ動画 ›

注目の人物 ›

トップへ戻る