アクション、絆、ブライアン! 3つのキーワードからたどる『ワイルド・スピード』の魅力【PR】
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ド派手でアクロバティック、“見たことのない”カーアクションと仲間や家族との<絆>が、世界中で多くの人々の心をつかみ、熱狂的なファンから愛され続けている『ワイルド・スピード』シリーズ。洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」では、主人公ドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)と相棒ブライアン・オコナー(ポール・ウォーカー)の出会いを描いた第1作『ワイルド・スピード』(2001)から、故ポール・ウォーカーがブライアンを演じた最後の作品である第7作『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)までの7作品を、4月2日(土)に一挙放送、4月4日(月)から4月8日(金)まで、『ワイスピ感謝祭 ~See You Again, ブライアン~』と題して特集放送する。今回の放送に合わせ、家族や子どもと一緒に楽しめる愛と友情を描いた点や、ブライアンの正義の姿勢など、本シリーズのさまざまな魅力を改めて振り返っていきたい。
■ CG表現による革新的カーアクション
『ワイルド・スピード』は2000年7月に撮影が開始され、翌2001年に劇場公開されている。その後、興行的な成功によって、9本のシリーズと1本のスピンオフ、計10作品が製作されてきた(2022年現在)。新作の公開も決まっており、“21世紀を代表するハリウッドの映画シリーズ”と言っても過言ではないほどの人気を博しているが、第1作が公開された当時は、「カーアクションをCGで表現する」という点が作品の売りとなっていた。
『ワイルド・スピード』 (C)2001 Universal Studios. All Rights Reserved.
例えば、カメラがハンドルからエンジン内部へと移動してゆく演出。『ジュラシック・パーク』(1993)以降、劇中で「それまで見たこともないような映像」をCGやVFXによって実践する傾向が加速し、その技法がカーアクションに用いられたことは革新的だったのだ。また『ワイルド・スピード』は、ブライアン役のポールやドミニク役のヴィンといった俳優にとって当たり役となった。
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』 (C)2006 Universal Pictures. All Rights Reserved.
一方で、第2作『ワイルド・スピードX2』(2003)ではドミニクがシリーズから姿を消し、第3作『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)ではブライアンが姿を消すなど、シリーズの継続には紆余(うよ)曲折もあった。シリーズにとって転機となった第3作は、タイトルからもわかるように日本が舞台。北川景子や妻夫木聡が出演していたことでも話題となったが、“ドリフト走行”を実践させることで、CG表現からリアルなドライビング・テクニックを見せる映画に変化させたという功績がある。また、物語の鍵となる因縁の原点が点在し、サン・カン演じるハンの登場などによって、シリーズが仕切り直された感もある。そこに“日本”という要素が関わっていることも、シリーズが長年愛され続けている理由のひとつだ。
■ 家族や仲間を大切にする愛と友情
『ワイルド・スピード』シリーズの最大の魅力は、「それまで見たこともないような映像」によるカーアクション。家族そろって楽しめる迫力のアクションは、毎回アイデアにあふれていて「今回はどんなすごいアクションがあるのだろう?」と期待させるポイントとなっている。
『ワイルド・スピード MEGA MAX』 (C)2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
例えば、第5作『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011)で巨大金庫を強奪するくだり。2台のダッジ・チャージャーがワイヤーでつながれた巨大な鉄の金庫を引き回しながら、街中を破壊してゆくという痛快さがあった。この場面は実際にブラジルのリオデジャネイロ市内で撮影され、タイヤの付いた走行可能な車として巨大金庫を制作。ワイヤーをVFXで足すという逆の発想によって、いかにも2台の車が巨大金庫を引っ張っているかのような映像を実践していたのだ。つまり、VFXというデジタル技術と、ドライバーの運転テクニックというアナログな技術の融合によって成立した場面なのである。
そして、『ワイルド・スピード』シリーズには、友情や信頼といった<仲間との絆>や、血縁よりも濃い<疑似家族>のような人間関係がモチーフとなっている点も特徴だ。ドミニクの仲間たちは、何らかの組織に属しているわけではない。しかし、第6作『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)以降は、国際的な犯罪組織の壊滅に協力する世界規模の物語に変化。アメリカ外交保安部や政府所属の秘密組織の捜査に協力するようになるのだが、彼らの根底には<仲間との絆>がある。時に、国家の危機よりも家族や友情が優先されるのはそのためだ。そんな仲間同士の<疑似家族>的な関係をつないでいるモチーフのひとつが、“車”なのだ。
シリーズの転機となったのは第3作『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』だったと前述したが、劇中でカスタムされた日本車が活躍する点も日本の映画ファンを熱狂させる理由のひとつだろう。
■ “シリーズの象徴”ブライアンと一緒に観客も成長
ポール・ウォーカーが演じるブライアンは、ドミニクの相棒として『ワイルド・スピード』シリーズを象徴する存在。ポール本人が急逝してしまった後も、劇中でブライアンの存在を言及させている点に、シリーズのファンは胸を熱くさせている。そもそもブライアンは、第1作でロス市警の警察官として登場したという経緯がある。映画冒頭で描かれるトラック襲撃事件を捜査するため、彼は身分を隠してカー用品店で働いている。つまり、おとり捜査を行う立場なのだ。
『ワイルド・スピード EURO MISSION』 (C)2013 Universal Studios. All Rights Reserved.
ブライアンはドミニクと仲間たちが容疑者であるとにらみ、彼らに近づいてゆく。それゆえ、当初のブライアンとドミニクは、お互いの<信頼>で結ばれていたのではなく、むしろ<疑念>を抱きながら相手を推し量っていたという間柄だったのである。また、ブライアンとドミニクを結びつける存在として、ドミニクの妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)がいる。敵かも知れない相手の妹に恋心を抱くという設定には、『ロミオとジュリエット』に近似させた普遍性があり、やがてブライアンがドミニクとの絆をより深めていくゆえんにもなっている。
第1作の最後で、ブライアンは警察官としての職務よりも<友情>を優先させる。この選択が、シリーズの底辺に流れる<仲間との絆>や<疑似家族>といったモチーフの原点にもなっていることが分かる。例えば、ミアと結婚し、子どもが生まれたことで、ブライアンは機能重視のカスタムカーから、安全重視のファミリーカーに乗り換えている。シリーズが約20年継続されてきたことで、奇しくも観客はブライアンと同じように家族を持つような年齢に成長。観客がブライアンというキャラクターに共感するゆえんにもなっている。いつしか『ワイルド・スピード』シリーズは、個人で楽しんでいたはずが、家族と一緒に楽しむような作品に変化していることもポイントだ。 ※5月には、同チャンネルで吹替版の一挙放送も組まれているので、子どもと一緒に家族そろって見たいという方はぜひチェックしてみてほしい。
『ワイルド・スピードX2』 (C)2003 Mikona Productions GMBH & CO., KG. All Rights Reserved.
ブライアンは警察という組織に属した人間だったが、ドミニクの表層的な印象ではなく、彼の内面に惹(ひ)かれたことで、逃亡ほう助の罪により自らも追われる身となる。このように、ブライアンというキャラクターが魅力的なのは、超法規的な道を選択してでも己の正義を貫こうとする姿勢にある。例えば、『ダーティハリー』(1972)でクリント・イーストウッドの当たり役となったハリー・キャラハン刑事がそうであったように、いつの時代も、観客は法を超えた正義を執行する主人公に憧れを抱いてきた。我々の暮らす社会が、どこか白黒のつけにくい"灰色の正義"を必要としていることと、『ワイルド・スピード』シリーズが必要とされていることとは、決して無縁でないのである。
【『ワイスピ感謝祭 ~See You Again,ブライアン~』の概要】
『ワイルド・スピード』シリーズ7作一挙放送
洋画専門チャンネル ザ・シネマ
字幕:4月4日(月)~4月8日(金)ほか ※4月2日(土)一挙放送
吹替:5月21日(土)~22日(日)一挙放送 ほか
放送作品
『ワイルド・スピード』
放送日:4月2日(土)8時00分~、4月4日(月)21時00分~ ほか
『ワイルド・スピードX2』
放送日:4月2日(土)10時00分~、4月5日(火)21時00分~ ほか
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』
放送日:4月2日(土)12時00分~、4月6日(水)21時00分~ ほか
『ワイルド・スピード MAX』
放送日:4月2日(土)14時00分~、4月7日(木)21時00分~ ほか
『ワイルド・スピード MEGA MAX』
放送日:4月2日(土)16時00分~、4月8日(金)15時45分~ ほか
『ワイルド・スピード EURO MISSION』
放送日:4月2日(土)18時30分~、4月8日(金)18時30分~ ほか
『ワイルド・スピード SKY MISSION』
放送日:4月2日(土)21時00分~、4月8日(金)21時00分~ ほか
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『ワイルド・スピード』 (C)2001 Universal Studios. All Rights Reserved.
『ワイルド・スピードX2』 (C)2003 Mikona Productions GMBH & CO., KG. All Rights Reserved.
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』 (C)2006 Universal Pictures. All Rights Reserved.
『ワイルド・スピード MAX』 (C)2009 Universal Studios. All Rights Reserved.
『ワイルド・スピード MEGA MAX』 (C)2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
『ワイルド・スピード EURO MISSION』 (C)2013 Universal Studios. All Rights Reserved.
『ワイルド・スピード SKY MISSION』 (C)2015 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
提供:洋画専門チャンネル ザ・シネマ
文:松崎健夫(映画評論家)、クランクイン!編集部