この新田真剣佑を見よ! 『るろうに剣心 最終章 The Final』肉体と魂がぶつかるクライマックスに震える
迎えた最大の見せ場、剣心と縁の肉体と魂がぶつかりあうクライマックス。「見逃し厳禁! まばたき厳禁!」と叫びたくなる、最高峰といえるアクションシーンが、縁の館で連続する。ここにきてようやく、鍛え抜かれた新田の爆裂上腕二頭筋が披露される演出もニクイ。この立ち姿を見ただけで、新田の縁役に懸けた思いが伝わってこようというものだ。
風に乗り、哀しさを帯びた剣心の受けの戦いに、空気を怨で切り裂き、怒りを全身から発出して向かってくる縁。剣心にとって、敵でありつつも、決して戦いたくはなかった相手だが、ふたりは剣を交えるしかなかった。このシーンで、新田はバリエーション豊かに超絶アクションを繰り出すとともに、幾重にも厚みのある心の様を表現してみせる。剣心への怒り、憎悪に支配された体の奥にある、最愛の姉を亡くした瞬間の恐怖と、寂しくてたまらない、姉の優しい笑顔に包まれたい少年の心。もともとは破壊する予定がなかったという、庭園の八角堂をなぎ倒すパワーを見せながらも、新田の縁は、守ってあげたくなるような弱さを滲ませる。
■現在25歳、これからの海外での活躍が目に浮かぶ
千葉真一の二世であることを殊更に強調するまでもなく、自身の才能と魅力で惹きつける新田だが、それでもやはり幼いころから空手やレスリング、体操などを経験してきた素養は確実に俳優としての武器になっている。そして生まれ持った資質を、己の努力でさらに強固なものへと高める意志もしっかりと受け継いでいる。
『The Final』で、その身体能力の高さと割り切れない感情の機微表現をMAXまで発揮した新田。これが俳優・新田真剣佑だといわんばかりに。とはいえ、ここで分かった気になるのは早い。現在25歳の新田は、昨年から拠点をアメリカへ。恵まれた肉体に加えて、これまで日本の俳優たちの壁になってきた言語も問題なし。すでに海外版『聖闘士星矢』での主演と、Netflix制作のドラマ『ONE PIECE』でのロロノア・ゾロ役が発表されている。日本のコミック、アニメを海外で実写化するという、ともに地雷を踏む危険性もあるプロジェクトだが、日本へのごあいさつ程度の出演だった『パシフィック・リム:アップライジング』とは違い、新田がメインを張るのだ。ぜひ応援したい。
まずは『るろうに剣心 最終章 The Final』。この輝き、パワーを見れば、世界での活躍を自然と期待したくなると断言しよう。(文・望月ふみ)