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『チェンソーマン』『進撃』『鎌倉殿』 2022年大人気作に“意外な共通点”

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(3)『鎌倉殿の13人』:テレビドラマでしか成立しない大作

 最終シーズンの制作費は一話あたり10億円規模とも報じられた『ゲーム・オブ・スローンズ』。その売りは「映画的」とも絶賛された壮大な画面にある。

 しかし、2010年代アメリカのテレビ黄金期を象徴する『ゲーム・オブ・スローンズ』の重要性は、テレビシリーズでしか不可能なこと。もともと、人気小説であった原作に実写映画化の企画はあったというが、あまりに人物が多すぎて、2〜3時間の映画フォーマットでは主人公級のキャラすらカットしなければ不可能だった。

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 一方「短編小説的な映画に対して長編小説的」とされるシーズン制のテレビドラマなら、膨大な舞台、関連人物を丹念に描くことができた。かつて「映画より格下の文化」と見なされていたテレビドラマは『ゲーム・オブ・スローンズ』の大成功により「テレビでしかできない大作」のかたちを立証した。その功績のひとつとして、米テレビ業界最高の名誉であるエミー賞受賞数は史上最高の59回に及んでいる。

 日本を代表する劇作家・三谷幸喜も「テレビでしかできない大作」スタイルを牽引中かもしれない。『ゲーム・オブ・スローンズ』をお手本にしたというNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、ファンタジーの香りがする鎌倉時代の政治劇を意識したそう。

■新時代の『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』

 ちなみに、ファンタジーながら女性人気も高かった『ゲーム・オブ・スローンズ』は、その過激描写の多くから、ジェンダー表象を批判されることもあった。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』U-NEXTにて独占配信中 (C)2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R)and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
 そして2022年、アメリカを筆頭とした世界中で文化現象となっているのが『ゲーム・オブ・スローンズ』のスピンオフ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』。今作では、家父長制が根づよい王朝で引き裂かれる女性同士の対立といったジェンダー問題にフォーカスがあてられている(ちなみに、シーズン1の主要人物は少なめなため『ゲーム・オブ・スローンズ』より見やすくなっている)。

 まだまだ進化して新時代をつくりつづける『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズ。10月末現在『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン1のすべてのエピソードが出揃ったところなので、ポップカルチャーのファンなら必見のタイミングだ。(文:辰巳JUNK)

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